06/03/2026
同窓生でNY在住の弁護士・作家の旦英夫さんによる、「週刊NY生活」&「朝日ウィークリー」紙に連載中のコラムです!
Prediction Markets 予測(賭博?)市場
今、米国で注目を集めているPrediction Marketsとは、将来の出来事が起こる確率を市場価格として売買する仕組みです。2020年に創業したKalshiというオンライン取引所では、選挙結果や金利動向、スポーツの勝敗など、あらゆる事象が賭け取引の対象となっています。 例えば、ある選挙候補者の当選確率を市場が25%と評価している場合、その契約は25セントで取引されます。結果が出ると100セント(1ドル)で決済されるため、25セントで購入した契約が的中すれば、負けた側のお金を原資として、1ドルを受け取ることができ、投資額の4倍が戻る計算になります(利益は3倍)。少額の取引手数料は発生します。
このような予測市場は日本では賭博罪に抵触する可能性が高いですが、米国では連邦裁判所がこれを金融・先物市場の枠組みで扱う余地を認めました。 実際、Prediction Markets は先物市場を監督する連邦政府機関であるCFTC(商品先物取引委員会)の規制下に置かれています。
一方で、ニューヨーク州など一部の州ではPrediction Markets を州法違反とする訴訟が起きています。また専門家からはインサイダー取引や政治権力者による利益独占のリスクが指摘されており、 実際に、内部情報を用いた不正取引での逮捕者が出ています。「来年の景気後退の有無」や「次期大統領選の結果」といった予測が、正当な金融市場として機能するのか、あるいは単なる賭博に過ぎないのか、現在米国で大きな議論の的となっているのです。
(文例) Prediction markets – online platforms where users bet on future events – are surging in popularity and facing scrutiny amid reports of market manipulation and insider trading. Just last month, a soldier in the U.S. Special Forces placed a wager using classified information about the imminent removal of Venezuelan leader Nicolas Maduro – earning him over $400K and an arrest for using highly sensitive information for personal gain. (Stanford News)
(訳) Prediction markets と呼ばれる、将来の出来事の行方予想に賭けるオンラインサービスの人気が急上昇中ですが、同時に市場操作や内部取引に関する調査や報告の対象にもなっています。先月、米国特殊部隊の兵士がベネズエラの指導者ニコラス・マデゥロの差し迫る排除に関する極秘情報を利用して、賭けに手を出しました。彼は40万ドル以上を得たものの、高度機密情報を私益に使ったことで逮捕されるに至りました。
旦 英夫 (ニューヨーク州弁護士)
6/3/2026