イフガオ州ハパオの世界遺産の棚田を守るプロジェクト

イフガオ州ハパオの世界遺産の棚田を守るプロジェクト フィリピン・ルソン島北部バギオ市の環境NGO「Cordillera Green Network(CGN)」の、イフガオ州ハパオの世界遺産の美しい棚田を守るために活動報告です。

 フィリピン共和国ルソン島中部の山岳地方のイフガオ州にある「コーディリェーラ棚田群」はユネスコの世界遺産(文化遺産)に指定されています。https://whc.unesco.org/en/list/722

 イフガオの世界遺産の棚田というと、バナウェの棚田ばかりが有名ですが、実は世界遺産に指定されている棚田は、バナウェ郡だけでなく、キアンガン郡、フンドゥアン郡、マヨヤオ郡にあります。すべての観光客が目指すバナウェの展望台は、実は世界遺産に指定されていません(バナウェ郡で世界遺産に指定されているのは、バンガアンBangaanとバタッドBatadの棚田です)。

 一方、バナウェ郡のお隣りフンドゥアン郡にある棚田は、すべてが世界遺産に指定されています。とくにバナウェの中心から車やトライシクルをチャーターしてわずか1時間のハパオHPaの棚田は、観光客が多く訪れる場所です。

 ハパオの棚田はハ

パオ川の両側に広がる広大なもので、ハパオ、ヌグルナンNungulunan、バアンBaangの3つのバランガイ(村)があります。バナウェから続く幹線道路沿いにいくつかある展望台からの眺めは壮観です。また、棚田の中を1時間ほど歩くと、天然の露天温泉Bogyah Hot Spring(https://www.lakas.com.ph/bogyah-hot-spring-in-hungduan-ifugao/)があり、それを目当てにやってくる人も多くいます。ハパオ川の源泉はイフガオの人に「神の棲む山」とあがめられているナプラワンNapalauan山(2462m)。澄んだ清流が、ハパオとその下流で棚田を営む人々の暮らしを支えてきました。

 また、ナプラワン山とハパオ周辺は、日本ともかかわりの深い場所です。第二次世界大戦が終わった1945年、フィリピン軍を率いていた山下奉文陸軍大将と日本軍はこのイフガオ州のナプラワン山中に潜み、その後、降伏しています。
 
 第二次世界大戦末期、イフガオの先住民族たちは突如やってきた日本兵を恐れ、多くが着の身着のままで山中に隠れました。飢えた日本兵たちは、イフガオの人たちが先祖代々耕してきた棚田の米や大切に飼っていた家畜で、一時の飢えをしのぎました。

 そんな悲惨な歴史の舞台になったことをまったく感じさせない息をのむような美しいハパオの棚田ですが、近年の気候変動により想像を超える長雨や大きな台風が襲来し、ハパオ川の氾濫が懸念されています。実は2005年に日本政府のサポートによって、ハパオ川の両側に治水目的の約1キロの長さの堤防が築かれています(Construction of Flood Control in the Three Barangays of Hungduan for the Preservation of the Rice Terraces)。しかし、その一部である、ナガワNagawwa集落の堤防壁が大雨によって決壊しており、大雨時にはハパオのコミュニティに流れ込んできています。

 2020年11月にルソン島を襲った台風22号(フィリピン名:ユリシーズ)による大雨では、川近くに住む家屋が浸水被害にあいました。
「もう1日雨が降り続いていたら、川の近くの棚田もコミュニティのより広いエリアも、浸水していたことでしょう」
と、ハパオ村のヨグヨグさんは話しています。

「一刻も早く、壊れた堤防を修復したい。力を貸してもらえませんか?」

と、ハパオ村の住民たちからの要請で、バギオ市を拠点とする環境NGO「コーディリエラ・グリーン・ネットワークCordillera Green Network(CGN)」はこの日本ともゆかりの深い美しい棚田を後世に残すために、約27メートルの壊れた堤防の修復工事をサポートすることにしました。

 工事は、フンドゥアン郡政府のエンジニアの設計プランに基づいて行われます。施工にあたっての監修は自治体のエンジニアが行い、修復に必要な資材の購入はイフガオ州内から調達します。2020年からのロックダウンで、ハパオの棚田は観光客がゼロの状態が今も続いています。まったく止まったままの地域経済の活性化にも少しはお役に立てればと考えます。

 実際の施工工事は誰よりもこの工事を必要とし、自分たちの村を守りたいと思っている、コミュニティの人たちの手で行われることになりました。2021年1月半ばまでには着工し、2月末までの終了を目指しています。

 総工事費は700,000ペソ(約150万円)です。

 すでに、在マニラで不動産業や飲食業を営む篤志家の屋良朝彦氏(沖縄出身)から大口の寄付のお申し出を受けています。

 新型コロナの感染拡大で世界中の人が心に不安を抱き、将来への希望を見失いかかっています。心の余裕が失われ、自分たちだけが生き延びていくことを考えるのに精いっぱいではありますが、だからこそ、世界の片隅で起こっていることを想像し、地球全体として生き延びていくため、そして貴重な文化・自然遺産を後世に残していくために、できることを少しずつしていく時期でもあると思います。

 CGNでは屋良氏からの寄付をサポートする形で、イフガオ州やハパオ、そしてCGNやCGNにご縁のあった方々から広く寄付を集めたいと思っています。より多くの方のサポートを得ることで、多くの人がイフガオ州の貴重な文化遺産である棚田を知り、棚田で起こった歴史を学び、次世代に向けてのメッセージを紡いでいけたらと考えています。

 CGNでは、この治水堤防の修復工事を終えた後も、棚田の保全を目的とした活動を継続していく予定です。みなさまからのご寄付に関しては支出報告をインターネット上で公開します。また、新型コロナウィルスの感染が収束し、移動規制が緩和されましたら、ハパオへの視察を兼ねたモニタリングツアーも企画したいと思っています。

 どうぞご協力、よろしくお願いいたします。

●日本国内からのご寄付
【振込先】
広島銀行
支店名:向島支店
店番号:097
口座番号:普通 3077610
口座名:コーディリエラグリーンネットワーク日本事務局
【クレジットカードでのご寄付】
https://syncable.biz/associate/cordilleragreen/donate/

●フィリピン国内からのご寄付
【振込先】
Banco de Oro(BDO)
Branch: Leonard Wood Road
Account Number: 012930019561
Account Name: Mariko S Banasan

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Hapao
Hungduan

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