10/10/2026
9月に札幌の出版社・寿郎社から、「炭都夕張の約束—ビルドアップから再出発までの七〇年」が発刊されました。長く夕張を研究されている笠原良太・水島久光・嶋﨑尚子・中澤秀雄・島西智輝・青木隆夫の諸先生方による論文集です。表紙や扉写真に「みんなでつくる夕張の記憶ミュージアム」で収集した写真等が使用されました。また当法人で販売している庄子喜隆さんの写真集「夕張ー昭和の追憶一九七七年」の写真も、多数使用されています。
これまでの夕張関連書籍との大きな違いは、借金完済が間近に迫る2026年現在の夕張から、石炭政策が大きく展開した1955年以降、北炭・三菱両社の新鉱開発が進展しながらも「炭鉱から観光」へと大きく転換していく1977年頃、そしてすべての炭鉱が閉山した1990年以降のそれぞれの時代を見つめている点です。また北炭・三菱両社に関する記述がそれぞれに厚いというのもこれまでとは異なる大きな特徴かと思います。さらに、一般市民の地域生活やメディアによる描かれ方についても言及されるなど、多分野の先生方の専門性が反映されています。
「夕張は何だったのか」とは、これまで散々に議論され尽くしてきました。ただ、それぞれの時代にも市民は生き、これから財政再生を乗り越え真の自立を果たす局面においても、市民はそれぞれの暮らしを守りながら実直に生きています。本書は、「議論したい人たちだけが読む論文集」ではなく、これからを生きる私たちが一旦自らを振り返り、そしてこれからを切り開いていくときに何が糧として必要なのかを考える手助けになる標となるのではないかと思いました。そしてそれらは私たちだけに担わされるものでもない、応援団はたくさんいるはずなのだとも。記憶ミュージアムの収蔵写真、つまり市井の人々が撮影した写真に着目いただいたということも、私たちの「歴史への尊重と連携」なのだと感じました。
夕張市内では文化堂でお求めいただけるほか、寿郎社のネットストア等でも購入可能です。ぜひお読みください。
https://jurousha.official.ec/items/156875742