17/06/2026
『ゆうれいだきのでんせつ』
(小泉八雲 原作 田辺青蛙 翻案 朱華 絵 東雅夫 編 岩崎書店 2026年3月)
最初、「幽霊抱き」かと思っちゃったんだけど
「幽霊滝」でした。
美しい表紙。
めくった見返しに息を飲む。
美しい銀色の地に
椿の朱。
絵本に銀色が使われていると
わたしはいつも
ハッとしてしまう。
見慣れないから。
美しいから。
その色を紙に再現するの
大変だろうなあと想像するから。
ページをめくると
白と灰色の雪と霜に覆われた
山間の農村。
向こうに小さく赤いものがある。
目を凝らすとそれは
鳥居だとわかる。
怪談は語られる。
それを絵本にしたとき
絵で物語るもの
物語らないもの
注意を向けさせる朱
クローズアップされる
小さな祠
氷結した滝
囲炉裏ばたの女たち
怪談話
老婆の肝試し
幽霊滝へ一人で行ったら
全ての麻をあげよう、と。
祠のしめ縄が切れ
この世のものではないものが
おかつをとりまく。
鳥居は結界。
しめ縄も結界。
禁忌を犯した
おかつに
待ち受けていた残酷。
それを絵で描くと
こうなるか。
とても子どもには読めない。
もちろん
朝の読み聞かせボランティアとしても
読めない。
がしかし
なんと魅力的な絵本。
ただただ怖い、だけじゃない
哀しさが
小泉八雲の怪談にはある、と
わたしは
NHKの朝ドラ「ばけばけ」で知った。
おかつは、シングルマザーなのか。
背中の子を養うために
または欲のために
老婆の肝試しにのったのか。
虚栄心みたいなものもあったのか。
子どもを置いていかなかったのはなぜなのか。
背中の子のぬくみに勇気づけられていたのか。
怖い話を共有することでの
女たちの結束も
もの哀しい。
怖い絵本がゾロゾロある中で
別格で怖い。
けど、怖いだけじゃない、なにか。
小泉八雲を絵本にする意味がある、
絵本でなければ表現できないことが
ここにある
と感じました。
大人の人に読んでみてほしいなあ。
ご夫婦で
小泉八雲を翻案
されたのですね。
↓
「翻案ってすごい」──小泉八雲の怖すぎる絵本のこと
https://note.com/osekkaina_obasan/n/nb751ad180c91
#怪談絵本
#小泉八雲