24/07/2025
第27回信州岩波講座2025 戦後80年 いま語るべきこと
聴講券発売中
https://iwanami.suzaka.jp/
○講座Ⅰ 8月9日(土)
講演:上間陽子さん
演題:ケアをまんなかにおいた社会にむけて―10代のママたちの施設おにわ4年間のとりくみから
○講座Ⅱ 8月23日(土)
講演:梯久美子さん
演題:「もの」が語る戦争の記憶―戦争ミュージアムを巡って
○講座Ⅲ 9月6日(土)
講演:片山善博さん
演題:溌剌(はつらつ)とした地域を創る
講演:後藤謙次さん
演題:トランプのアメリカと混迷する日本政治
今年は日本の敗戦から80年の節目の年です。第二次世界大戦では世界全体で6000万人が命を落とし、日本国内だけでも310万人の兵士と市民が犠牲になりました。戦争体験者はわずかになり、被害や加害の記憶は日に日に薄れつつあります。
この間、1989年のベルリンの壁崩壊を機に冷戦が終わり、民主主義があまねく広がるかとの期待も束の間、弱肉強食の新自由主義が横行し、不平等が拡大しました。民主主義は劣化し、米国にトランプ現象を生み出しました。弱小国や無力な市民を平然と踏みにじる強権国家が台頭し、国際社会は無力感に苛まれているかのようです。
「剣を取る者は剣によって滅びる」。二つの大戦を経て、ようやく共通の理念となりつつあったかに見えた平和主義は、いまや風前の灯です。世界に誇るべき日本国憲法9条も、国民の審判もないままに空文化の一途をたどっています。
戦後80年、この荒涼とした景色を前に、私たちは子どもたちに胸を張って平和や正義を語ることができるでしょうか? 次代に伝えるべきことがあるとしたら、それは何でしょうか?
今年の信州岩波講座は、このような観点から、次の三つの講座を準備しました。
8月9日の講座Ⅰは、生きづらさを抱える沖縄の若い女性たちのサポートをしている上間陽子さん(琉球大教授)が「ケアをまんなかにおいた社会に向けて ―10代のママたちの施設おにわ4年間のとりくみから」と題して講演します。「おにわ」は、上間さんらが運営する女性のためのシェルターです。
上間さんに講座をお願いしたのは、戦後80年の節目に沖縄を語ることは避けて通れないと考えたからです。演題は、10代の女性たちが抱える問題に焦点を当てていますが、背景に長年にわたる本土からの米軍基地の押し付けや、米兵の暴行のみならず男社会の偏見や抑圧、さらには貧困といった、二重、三重の差別の歴史が横たわっていることに気付かされます。「おにわ」に駆け込む女性たちの現実の一端を知ることで、お決まりの「基地問題」を超えて、「沖縄」を自分事としてとらえるきっかけになれば、と願っています。
23日の講座Ⅱは、ノンフィクション作家の梯久美子さんが「『もの』が語る戦争の記憶」のテーマで講演します。戦時期のさまざまな群像や全国の戦争ミュージアムを取材してきた梯さんが、いま戦争を語り継ぐことの意義を提起します。講演の後、満蒙開拓平和記念館の事務局長、三沢亜紀さんが聞き手となり、さらに課題を深めます。
最終日の講座Ⅲは9月6日です。元鳥取県知事の片山善博さん(地域構想研究所所長)が「溌剌とした地域を創る」のタイトルで講演し、続いてジャーナリストの後藤謙次さんが「トランプのアメリカと混迷する日本政治」について話します。講演後、お二人には、地域-日本-世界を結ぶ視点から、戦後の歩みを振り返り、未来への展望を語り合っていただきます。
混迷の時代の中で、私たちは、何を語り、どう行動したらいいのか、今夏の信州岩波講座が一つの足掛かりになれば幸いです。