22/09/2026
第79回岩手芸術祭美術展写真部門
講評 (一社)日本写真著作権協会常務理事
日本大学芸術学部非常勤講師
写真家・棚井文雄
私にとって写真家とは生き方だと考えている。写真は、写真家がその場に立ち、被写体との対峙、あるいは交錯によって生まれる何かを、シャッターを切り、捉えることで成立する。
本公開審査において、岩手県に生まれ育った、もしくはゆかりある写真家の作品をみせていただいた。審査をしておいてこのようなことを言うと矛盾を感じる人もいるだろうが、本来、作品には順位などつけるものではないと思っている。私の眼の前に示されるものは、生き方、生きざま、個性なのだから。今回は苦しみながらも、私が専門とする「キャンディッド・フォト」、ありのままの姿を捉えようとした作品を中心に選ばせていただいた。インパクトのある作品、完成度の高い作品、コンテスト向きではないかも知れないがジワッと伝わってくる作品も多い。タイトルの付け方や、プリント&マット仕上げに丁寧さが加われば更に魅力を増す作品も少なくない。次なる作品に大きく期待している。
・芸術祭賞 立花義典氏 「若手歌手の演歌にルンルルン」
限られた空間から「歌う箱」を通じて社会へと繋がる。クスリとさせられる「腹7分目だ!バカヤロー」の文字。温もりと幸福感が伝わる。
・優秀賞 森重真行氏「祈り・つなぐ里―久出内 馬っこつなぎ」
人と場所と時間が記憶する風習や信仰。時はゆったりと流れ、それらの深い結びつきは人々の厳かな立ち居振る舞いに現れる。