羆塾ひぐまじゅく

羆塾ひぐまじゅく 北海道のシンボルであるヒグマとヒトとの共生が目的です。その具体的な方法論を模索・実践しています。

03/12/2025

《ソースの重要性―――生成AIの台頭》

https://www.dailyshincho.jp/article/2025/11140600/?all=1

 共同通信っていうのは、自分も学生時代にアルバイトで随分お世話になった会社で、自ら配信する記事の信頼性に関して、一般メディアよりその重要性を理解している会社だと思う。
 その共同通信が、ウミガメのフェイク画像を事実として配信してしまったうえに、その訂正に時間を要したという流れ。
 生成AIを用いた動画や画像は、現在において既に「見抜くのが事実上困難」な状況に来ているというところが、時代としてちょっと気色悪い。

 最近、クマ関係の生成AIによるフェイク動画が、じつは幾つか確認されている。おばあちゃんが農作物を畑でヒグマに手渡しで与えている動画や、女子高生らが路上で仔熊を抱っこして、可愛い可愛いとはしゃいでいる動画など。また逆に、クマを恐怖の猛獣に見せるためのフェイクやヤラセの動画もあるかも知れない。つい一週間ほど前にも、宮城県・女川町の公式Xのページで町内のあるクマ出没情報がニセであったことを訂正・お詫びする投稿がアップされたばかりだ。
https://x.com/TownOnagawa/status/1993597632292524317?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E1993597632292524317%7Ctwgr%5E59fff658b7d5f46ee47b5d9e84b91042b82a9975%7Ctwcon%5Es1_&ref_url=https%3A%2F%2Fwww.ben54.jp%2Fnews%2F2946%2Fembed

 もちろん、クマの専門家の一部はこういうクマフェイクの風潮に大きな懸念を持つが、一般の方は今のところ意外と無頓着なようで、注意を要する。技術が進化したぶんだけ、ヒト側もさらに進化しなくてはいけないわけだ。

 一方、現代の特長として、1億総評論家のところがあって、それが必ずしも悪いとは言えないが、どんな情報や理解からその評論を自由気ままにおこなっているかには、大きな問題があるケースも散見される。
 ぶっちゃけた話、「その論の元となっているソースは確かなのか?」という基本の基の話。彼らのクマ問題評論の元となっているのが、軽薄なメディアの作為的で歪んだニュースだったり、SNS上のデマか風説だったり、生成AIによる半ば悪意・作為あるイタズラだったりで、それらが世論や政策をつくる国はとても危うい。

 自分も何かを把握しようとするときネット情報は利用するが、その信憑性や事実度で一つ一つより分けるのに、もの凄く時間をかけている。が、それでもより分けでミスをすることがある。生成AIの出現と進化によって、その「より分け」作業自体は困難化することが予測できる。

 不特定多数の1億総評論家集団が、今度は原動力となってミスリードの連鎖あるいはスパイラルを引き起こす流れとなり、その流れはなかなか止まらないのが普通だろう。逆に真の専門家が、いかに毅然と恐れることなく積極的に発言していくかが、とても大事なところだと最近特に痛感する。
 そのような事情があって、今日は実例を用いて少しだけ細かいことまで踏み込んで書いてみようと思う。

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さて。
 もう一つ、そのまま鵜呑みにできないことがよくある情報に、一部の猟友会支部・ハンターから出る情報がある。クマ経験が豊富でまっとうな猟友会なり組織・団体なりからは、その類いの怪しげな情報は出て来ないが、その情報の信頼性に関して、一般人としては生成AIのフェイク動画同様、見分けがとても難しい。

 最近の例で気になったのは、苫前で箱罠をひっくり返したという「こんなにデカいのは見たことがない」「400㎏超えの巨大ヒグマ」の例。この動画はあちこちにばらまかれているので「苫前 400㎏ ヒグマ」とかで検索するといくらでもヒットするだろう。

 「箱罠をひっくり返したクマ」の動画をちょっとクマを見慣れた人間が見ると、「巨大ヒグマ」には相当な違和感を禁じ得ないが、一般の方は何も疑わず信じてしまうと思うし、そこから、上述のクマ評論を何の悪意もなく展開することもあるだろう。
 その後、同町では380㎏ほどとされる個体が捕獲されたが、箱罠をひっくり返した個体がその捕獲個体と同一であるとするのには、無理があるように感じられる。
※冬眠前の時期であるにせよ、380㎏というのが実測なら、それなりに大型のオスと言っていいとは思う。

 そもそも。食物の乏しくなった冬前にシカなどの誘引力が強い誘因餌を箱罠に仕込んで仕掛けておくと、少なくとも周囲5~6㎞以内に冬眠を控え歩き回っているヒグマが次々に箱罠周辺に寄ってくるだろう。シカ死骸なら、一度冬眠したヒグマを再び外におびき出してそこに引き寄せるほどの効果が現れる場合もある。
 それをご当地の猟友会は「まだまだ(クマが)いる」と認識し、箱罠を仕掛け続ける流れになっているが、この場所に寄せられた1頭が罠をひっくり返した個体、その後捕まったの大型オスは別個体ととるのが自然な見方と思う。前掌幅の見立てが「約14cmはあるかな」から17㎝に変わっていることも、これなら整合性がとれるだろう。

 なお、誘因餌を仕込んだ箱罠が、わざわざ周囲の山のヒグマらをその場所に呼び込んでしまうという事実・メカニズムは、人里のクマ問題を考える上でとても重要なところとも思う。箱罠を撤去したら、それまでしつこく続いていたヒグマの目撃があっさり消えた、なんていうこともよくある例だ。

◆「箱罠をひっくり返すヒグマ」について。
 ただなんとなく仕掛けた箱罠をひっくり返すヒグマは丸瀬布では20年前からときどきいて、ひっくり返されない方法も地元猟友会によってだいたい確立している。ただ単に土の地面にアンカーを打つ程度ではどうにもならないが、そういう知恵比べの経験を持たない猟友会への取材で「スマートベア出現か!」的なことを報道されても正直閉口するばかり。アーバンベアに続きまた流行語大賞でも狙いたいのかな?と疑いたくもなる。
 ある程度の年齢まで生き延びているヒグマの知能は、実際にひっくり返すかどうかは別にして、老年で痴呆にでもかかった個体でなければだいたいにおいてそういうレベルにあるのがむしろ普通で、特に狡猾な個体は箱罠をひっくり返して中のシカ肉だけ持ち去ったりもする。

 ヒグマの知能は感受性とともにとても高く、「イヌと霊長類(サルやヒト)の間」と覚えておくといろいろ理解しやすいと思う。この表現はもともと北米の研究者Larry Van Daeleによるものだが、私もまったく賛同する。

◆「ひっくり返した個体の見立て」について。
 まず、トレイルカメラというのは、総じて広角レンズでつくられているので、手前に映ったものは実際の大きさより極端に大きく見える傾向がある。そのため、比較となる何かとカメラからの距離が同じという条件で大きさを比較しなければ簡単に錯誤を起こす。

 苫前の例では、箱罠の「高さ1m・幅80cm」から考えて、このクマの体高(四つ足で立ったときのコブの高さ)は、不鮮明で正確にはわからないが1m前後だろう。体高1mのオス熊というと小さめの個体で、4~5歳の若グマにありがちなサイズ。
 丸瀬布で確認できている体高の最大値は140㎝程度だが、今年体高を計測した個体でも130㎝ほどのオス個体があったので、そのあたりの体高を持つ大型のオス成獣はあちこちにちらほらと存在していると捉えるべきだろう。そのクラスの大型オスが順調に食い溜めをおこなった場合、体重は夏前の1.3~1.7倍程度に増え、400~450kgに達することは考えられるが、それは「大型オス成獣」という表現で言い、「巨大グマ」という表現は私自身はは用いていない。
 ちなみに、夕張岳から日高方面では実測500㎏を越えるヒグマが希に捕獲されるそうだが、北海道のヒグマの最大級はそのあたりだと思う。さらにアラスカ方面のコディアック島に暮らすヒグマ(コディアックベア)は700㎏程度に達し、ときに1000㎏を越える個体がある。そんなヒグマが目の前に現れれば、私もつい「巨大」という言葉を使いたくなるかも知れない。

 また、問題の個体に関して上述のように猟友会の現場の検分で前掌幅14㎝という情報もあるが、ヒグマの場合、前掌幅に関しては「14.5cm以上はオス」というだいたいの基準があって、14㎝というのはオスともメスとも判断がつかない小さめの足跡だ。ここからも、「箱罠をひっくり返した個体」が比較的小型オスか成獣に満たない若グマ(亜成獣)である可能性が高いことがわかる。

 このように断片的に得られる体高や前掌幅の数値データから冷静に考えていくと、実際に箱罠をひっくり返した個体は、猟友会のベテランハンターが言う「見たこともない巨大ヒグマ」とはかけ離れていることがわかる。どういう理由でこのハンターが事実とは異なる見立てを大袈裟に各種メディアに流してしまったのかは私には解らない。
 現在のメディアの状況を考えると、見る側が賢くならないといけないのかも知れず、私も含め細心の注意を要す。

《ガバメントハンターの実像は》こんにちは、岩井です。(乱文失礼) 最近のクマ問題の中で「ガバメントハンター」という言葉がメディアでも飛び交うようになった。専門家の間では、ガバメントハンターの構想・必要性は少なくとも20年ほど前から言われるよ...
26/11/2025

《ガバメントハンターの実像は》

こんにちは、岩井です。

(乱文失礼)
 最近のクマ問題の中で「ガバメントハンター」という言葉がメディアでも飛び交うようになった。専門家の間では、ガバメントハンターの構想・必要性は少なくとも20年ほど前から言われるようになっていたが、ひどく高じ混沌とした2025年のクマ問題の中で、にわかに注目を集めた概念だ。

 どうしてクマの専門家がそのような発想になったかというと、そもそも猟友会というのは「釣りサークル」と同じ趣味の団体で、そこに所属するハンターも、必ずしもシカやクマの大型哺乳類を撃つことを趣味としているわけではなく、クマ駆除の義務や責任を負うわけではない。要するに、趣味で銃を持っているのでシカやクマの対策ボランティアとしてできる範囲でやりましょうというスタンスで、何もできない行政の肩代わりをしてきてくれた存在だ。

 一方行政からすれば、丸投げした猟友会の機嫌を損なえばボイコットやストライキ的な対策放棄も簡単に起きるため、地域によっては首根っこを捕まれたままクマ対策を進めなければならない実状も横たわってきた。当然ながら、猟友会によっては私利私欲に偏った不謹慎な出来事もあちこちで起きる。(あくまで一部の地域の話)

 しかしその猟友会の会員数も高齢化を伴いながら徐々に減じ、それ以上に、クマに対抗できる実力はここ50年で低下の一途を辿り、「クマが絶滅する前にクマ撃ちが絶滅する」と冗談のようなことが専門家の間では言われてきた。

 昨今のようにクマの無警戒化が総じて進み、気軽に市街地にまで降りて暢気に歩いているようなクマならいざ知らず、警戒心を一定レベル以上に持った本当に捕獲が必要とされる「性悪グマ・迷惑グマ・危険グマ・異常グマ」が生じた場合に、ほとんどお手上げ状態で放置されるケースも増えてきた。最近の例では、道東のOSO18や、福島町で2021年に捕獲判断が下されたにも関わらず4年間放置状態に陥り2025年の交尾期に再び市街地で人身事故を起こしたオス成獣の例など。
 こういうケースに対しては、単に射撃ができるハンターではなく、クマを読みクマと対峙し確実に仕留めることのできるクマ撃ちが必要だ。捕獲が容易なクマだけを沢山罠や銃で捕獲することより、本当に問題性の高い個体をピンポイントで確実に捕獲することのほうが、地域にとってははるかに大事なことなのだが、それができない地域がますます増えている。

 昨今のクマの状況から、ようやく国・都道府県・市町村もそのことに気がつき、慌てて「ガバメントハンター」を言うようになった。
 ただ、どこかの県知事も含めパニック状態でその人らが言う「ガバメントハンター」と、実際に求められ、一部地域で成功しているガバメントハンター制度では、かなりギャップがある。
 ガバメントハンターはその名の通り、確かに銃の免許を持ちクマへの発砲をこなせるが、実際はクマの捕獲に限らず、クマ対策全般を担う存在だ。だから、「クマの捕獲能力を持った現場のクマ専門家」あるいは「クマ専門家の知見や判断力を持ったハンター」と理解したほうが実像に近い。単なる「クマの殺し屋さん」ではなく、パトロール・調査・追い払い・捕獲判断・普及啓蒙・猟友会や警察との調整などなど、総合的なヒグマ対策の中核を担わされる存在で、もちろん科学的な思考や理解も要求される、それがガバメントハンターだ。

 緊急銃猟制度施行以来、矢継ぎ早に起こった自衛隊への出動要請・警察特殊部隊の導入など、パニック状態のまま場当たり的な発想で「クマの殺し屋を雇う」みたいな意識に取り憑かれたままだと、むしろクマ対策の本質から離れていき、望んだ結果が出せないだろことは容易に想像できる。
 今年のクマ問題の混沌と高じきった状況と、クマパニックか集団ヒステリーとも思える状況は、これまで本当にやるべきことをやらず、解決できる問題も解決せずに長年やって来て、その付けとして陥っている状態に過ぎない。その結果、にっちもさっちもいかなくなってあくまで緊急避難的に「殺して排除」が必要になっているだけというところを正確に理解してもらえたらと願う。
 もちろん、「やるべきこと」とは必ずしもクマを手当たり次第殺しまくることではない。クマが問題を起こしたい放題起こす状況をつくって殺すことより、クマが問題を起こすこと自体を減らす方策が何より重要だ。

 まだ創世記で理想型かどうかはわからないが、私が知っている中で、最近導入されたガバメントハンター制度で最も成功している例が北海道・占冠にある。酪農学園大のシカ・クマの専門家がバックアップにつき、連携して取り組みがおこなわれているようだが、無闇にクマの捕獲に終始していないところがいい。終始していないからこそうまくいっているのだろう。

 ガバメントハンターと似た概念に、「レンジャー制度」というのが北米などにはある。特に国立公園などには、様々な権限を持たされたレンジャーがいて、そのレンジャーが上述したパトロール・調査・追い払い・捕獲判断・普及啓蒙などを公務として担い、クマ対策を総合的におこなっている。
 レンジャーはあくまでプロフェッショナルで、例えば彼らが携帯している銃器は、あくまでリスクマネジメント上の捕獲ツールということで対ヒグマ(ブラウンベア)が想定され、ライフルの口径でいうと338・375という大口径ライフルか10~12ゲージのショットガンであり、北海道で一般的なハンターが用いているシカ猟に最適化された308などの銃より、あらゆる状況下でクマを確実に止められる能力を持っている。
 世界遺産知床のヒグマ対策では、上述のレンジャーの条件がほぼ踏襲され、緊急的なヒグマの捕獲駆除では、338・375および12ゲージのショットガンに用いる銃器が限定され、特別に銅弾ではなく鉛弾を用いることも許可され、むしろ推奨されているが、ここまでしっかりと自衛隊や警察がおこなえるかは疑わしく、現状の猟友会にこのレベルの構えや能力を要求することができないし、先述したボランティアの性質からすべきではないかも知れない。

 じつは、レンジャーとガバメントハンターは、ほぼ同じ仕事内容で、能力や資質も同様のことが求められる。そう考えていくと、占冠のガバメントハンターよりはるか以前に、理想的なレンジャー・ガバメントハンターの像が知床に浮かび上がる。ここでは実名を避けるが、斜里の役場に勤め知床財団に出向していた彼は、世界遺産直近のウトロに居を構え、現場に張り付いて永らくヒグマ対策をおこなって来た。優れたヒグマの研究者でもあり、現在は北海道有数のクマ撃ちだが、調査・パトロールから追い払いや捕獲判断、対策立案・普及啓蒙などほとんどすべてのヒグマ対策を臨機応変に対応できる人物で、日本の法律上十分な権限を与えられていたとは言い難いが、その実力やスタンスなど優れたレンジャーでありつつ、理想的なガバメントハンターそのものでもある。
 ガバメントハンターを考える際、クマの殺し屋・猟友会や自衛隊や警察の特殊部隊をイメージしてもらうより、この彼を思い浮かべてもらうほうがはるかに近く、適切だろう。

 確かに、知床における追い払い等のヒグマの意識に働きかけてコントロールする技術・能力はまだまだ洗練されていない。厳しく言えば稚拙さが残っている。が、それは知床では膨大な観光客の安全確保のために銃器への依存がどうしても大きくなりがちで、ヒグマの教育技術を洗練するまでの余裕がなかったためだろう。
 それを見透かしたため自分は逆にそこに特化して没頭するために、もともとアラスカで趣味と言うより日常の道具として使っていた銃をあえて置き、「若グマの忌避教育」と称してクマの教育手法の開拓に身を振った。最終的にベアドッグに到ったが、クマ撃ちをめざす若手ハンターの育成などはできる範囲でおこなうものの、残念ながら、ガバメントハンターとしての資格はない。

 ガバメントハンターは教育手法が通じない問題グマに対して致死的な方法でそれを止める実力を持った総合対策人。ベアドッグハンドラーは問題グマが生じないように非致死的な方法で事前に問題を消す実力を持った総合対策人。特化した技術が多少違うだけで、どちらも、先述の総合的なクマ対策人であることに変わりはない。
 どちらの技術も確立しつつあるので、将来的に両方の技術を兼ね備えたレンジャー・ガバメントハンターなりベアドッグハンドラーなりが増えれば、クマ問題が高ずる余地などほとんどなくなるだろう。

添付)近況報告など

《イヌを守る飼い方》こんにちは。岩井です。(乱文失礼) 10月2日に《犬を連れる危険性》という題で、「クマは基本的にイヌを恐れていない」ということを書き、犬の散歩の方法や場所について言及しながら、番犬として自宅庭で飼っているイヌがヒグマの襲...
17/11/2025

《イヌを守る飼い方》

こんにちは。岩井です。

(乱文失礼)
 10月2日に《犬を連れる危険性》という題で、「クマは基本的にイヌを恐れていない」ということを書き、犬の散歩の方法や場所について言及しながら、番犬として自宅庭で飼っているイヌがヒグマの襲撃を受けて食べられる事例などにも触れた。
 最近、自宅庭につないである飼い犬がクマの襲撃に遭い、死んでしまったり、食べられたり、連れ去られたりする事例が相次いでいるので、その投稿の追記をしたいと思う。

 しつこいようだが、クマの数が増えたからといって、クマが人家の中や庭にフラフラと入ってくるようにはならない。あくまで、「ヒトに対する警戒心の低下・欠如」が主原因になっているということを理解しておいて欲しい。ヒトを警戒・忌避するクマだからこそ、ヒトに付随するイヌを警戒・忌避するということもあって、ヒトへの警戒心が低下した私言うところの「ヒト舐めグマ」の場合、人家やイヌ・クルマに対しての警戒・忌避も総じて低下する。

 犬の飼育現場には必ずしもイヌの食べ残しがなくてもドッグフードなどのニオイがあって、周囲のヒグマを誘引する要素がある。上述したヒトやヒトの附随物に無警戒になったクマは、自然に山から犬の飼育現場に誘引されて現れがちになるが、降りてみるとそこにはワンワンうるさい犬がいて、それをはたいて殺してしまうという成り行きが初手にはあると思う。もちろん、そういう経験でイヌを何度か食べた個体は、そのうち犬を食べる目的で山から下りてくるようにもなるだろうが、そういう事例は、先日述べた羅臼の件などを除き、今のところほとんど確認されていないと思う。

 今日は犬の話なので深入りしないが、人家の中で日々おこなう煮炊きの問題がある。つまり、クマの無警戒化があるレベルを超えると、キッチンで毎日やっている煮炊きのニオイに誘引されて人家に接近し、そのま人家内に侵入するケースが生じ始めると考えられる。こうなると、イヌを家屋に入れるとかどうとかとは比較にならない大問題になるだろう。
 クマによる庭先のイヌの襲撃というのは、その前段階にあたるが、最近、本州方面では、この流れに含まれるかも知れないと思われる危うい事例が生じ始めている。問題の本質はクマの数じゃなくて性質なのだ。
 混沌と高じているクマ問題にうろたえ、メディアに煽られてクマパニックか集団ヒステリーのように「殺せ殺せ」と大合唱している人らには、そこがまったく見えていないと思う。「クマの無警戒化の阻止」というとても重要なクマ対策をほとんどおこなってこなかった結果起きている現在の状況に対して、あくまで緊急避難的に人里に侵入してくるクマを捕獲して取り除くことが必要になっているだけで、そこには的を射た反省が必要だ。「クマ対策=クマを殺すこと」みたいな理解では、この先、問題解消や安全な暮らしはまったくおぼつかない。

さて。
 今日の焦点は、イヌを連れて散歩するときの話ではなく、どうやってイヌを飼うか?という内容。もちろん、単純に「イヌを家屋に入れろ」というのは論としては簡単だが、それぞれの家庭のいろいろな事情でそうしにくい場合もあるだろう。
 例えば私の場合、基本的にイヌが寝るのは部屋の中で適当に好きな場所で寝ているが、特に気温が下がる秋以降、あえて夜間の寒気にさらして外で眠らせる。それをきっちりやっておかないと換毛に失敗し、-30℃以下になる厳冬期にイヌがつらい思いをするからだ。日本犬に代表されるダブルコートのイヌの場合は、そんな気遣いも要る。
 またあるいは、子供が犬アレルギーを発症してしまったなんている例もある。愛犬を家族の一員として一緒に暮らしている場合もあって、その場合、子供が犬アレルギーになったから愛犬の飼育放棄ということにもならないわけで、知恵を使って次善の策を考える必要もある。

 では、いろいろな理由でどうしても庭でイヌを飼いたい場合、どんな方法があるだろう?

 「イヌの係留」は二種類あって、一つはチェーンなどをカラーにつけてどこかにつなぐ方式。もう一つは、フェンスで囲い、その中で自由にさせて飼う方式。部屋飼いというのは後者の一種なので、ケージにきっちり入れておく以外、窓を開け放つことも御法度になる。
 ここでは「クマが到来しそうな場所で外飼いをする」というテーマで、後者を提案してみる。

 2018年、MSBDの繁殖のために私が突貫工事でつくった小さな囲い地があるが、それは単管で組んだ6×6mのフレームに高さ240cmのシカ用ネットフェンスをグルッと回して固定し、ドアをつけただけのシンプルなもので、一人がかりで1~2日でできたと思う。(写真1枚目・2枚目)※画質が悪いのはご勘弁。
 
 うちの犬の場合、高さ240cmでも外へ出るのでさらに工夫を加えたが、通常犬ならば、まず2m程度の高さのフェンスで大丈夫だろう。単管のフレームはそのままでいいが、フェンスの素材は建築などに用いられる2×1mのワイヤーメッシュ(溶接金網)なども利用でき、獣害対策用のどぶ漬けメッキのワイヤーメッシュか、ちょっと高価になるがステンレス・ワイヤーメッシュを使えば、さらに安心だ。ちょっとしたDIY心があればそう難しい作業ではないと思う。景観を重視し単管やワイヤーメッシュを好みの色できっちり塗ってしまってもお洒落だ。
 広さとしては、だいたいにおいて4×4m(10畳程度)の広さがあれば十分だろう。

 イヌの係留自体はこれでいいが、クマの襲撃対策ではもうひとひねり要る。そこで用いるのが電気柵だ。クマがフェンスを壊したり、よじ登ったり、掘り返して中に入ったりしないように、電気柵を工夫してフェンスの外側に回す。

 農地や家庭菜園の防除の場合は電気柵だけでまず被害防止につながっていくが、人身被害の防止や犬を守るという趣旨の場合、突発的な「ビックリ突進」までを防ぐという意味で、フェンスをさらに盤石にするほうがいいと思う。

 写真3枚目は、実際にうちで使っている30m四方くらいの囲い庭のフェンスだが、単管に高さ240cmのシカ用ネットフェンスをベースとし、下3段のの電気柵は掘り返し防止、上の方の1段はよじ登り防止用に電気柵を加えてある。
 これは犬が外に出ないためのフェンスで、電気柵はフェンスの内側に回してあるが、同じように外側に回せばシカでもクマでもまず確実に止まる。

 こういうフェンスによる係留では、まず犬がチェーン等で拘束されていないため、普段から自由運動をできるメリットがある。そして、クマがもしやって来た場合、 イヌがクマを適宜避けて立ち回れるスペースが確保でき、最近起きている「愛犬が連れ去られる・殺される・食べられる」というケースを皆無にでき、その安全地帯でイヌが吠え続けることもできる点。そして、もしクマが電気柵に触れた場合、人家周辺や犬のスペースに対して強い忌避を抱く点もメリットだろう。
 もちろん、犬が殺されたり連れ去られたりせず元気に吠え続けてくれれば、寝室で寝ている飼い主だって気付くかも知れないし、その場合、110番に通報もできるし、町内会・自治会で事前に言い合わせておくことは必要かも知れないが、人によっては二階の窓からクマめがけて爆竹やロケット花火を投げつけてやるくらいの心づもりがあってもいいのかも知れない。

 イヌごときにそこまでできないという考えもあるだろうし、愛犬が殺されるくらいなら頑張ってやってみようという考えもあるだろう。そのあたりは、私が立ち入る問題ではないかも知れないが、一つの方法論・方向性として今日は提案してみた。

岩井

こんにちは、岩井です。 札幌方面ほか道内各地、いや日本列島津々浦々、ヒトをさして怖れずフラフラ歩き回るクマの問題で混沌としている状態ですが、今日は短い動画と近況報告を投稿します。 新しくこのページに来られた方は、そもそも「羆塾」ってなんなの...
24/10/2025

こんにちは、岩井です。
 札幌方面ほか道内各地、いや日本列島津々浦々、ヒトをさして怖れずフラフラ歩き回るクマの問題で混沌としている状態ですが、今日は短い動画と近況報告を投稿します。

 新しくこのページに来られた方は、そもそも「羆塾」ってなんなの?という素朴な疑問を持たれると思います。
 そこで、羆塾のウェブページのトップに用いた短い動画をFB用に、(多少殺風景なので)音などをつけて。

写真は、秋以降の近況報告。
既に雪が何度か降りましたが、徐々に秋の色を失い冬の接近を感じさせる今日この頃。朝夕はかなり冷え込みます。

じき真っ白な世界になるでしょう。

皆さまも、ご自愛ください。

《犬を連れる危険性》https://www.stv.jp/news/stvnews/kiji/st22bc9d73d9844edfbb70d886f300482d.html 9月26日札幌市西区で、再びヒグマによる人身事故が起きてしまいまし...
02/10/2025

《犬を連れる危険性》

https://www.stv.jp/news/stvnews/kiji/st22bc9d73d9844edfbb70d886f300482d.html

 9月26日札幌市西区で、再びヒグマによる人身事故が起きてしまいました。報道では特に取り立てて言及されていませんが、ヒグマの出没している地域で夜間に犬の散歩をするというのは、かなり危険度の高い行為で、日常生活でわかりやすく言うなら、酔っ払ってクルマを運転するのと同じくらいリスキー。
※被害者を糾弾するものではありませんが、このようなヒグマ生息地やその周辺での「基本の基」がいまだに普及できない自分には、イヌとクマを扱う専門家として辟易とします。

 このページに来られている方々は、私がしつこいほど書くので既に承知と思いますが、ヒグマの生息地内およびその周辺で犬を連れて歩くことは、もし近くにクマがいた場合、まずトラブルのタネにしかなりませんので、原則的に避けてください。

「犬がいれば大丈夫」「犬が守ってくれる」「クマは犬を避ける」というのは、残念ながら風説・迷信的で間違いです。チワワがキャンキャンとパニック状態で吠えついてもクマがその場から立ち去る例は北米にはありますし、日本でも犬がクマを追い払ってくれたように見える事例はあると思いますが、そのように見える事例の何倍も「犬さえ連れていなければ人身事故にはならなかった」と思える例があり、そもそも、通常犬がワンワン吠えて追い払えるクマは、犬がいなくても追い払える、あるいはうまくすれ違える個体であることがほとんどです。

 このあたりのことに関して、幾つかの例を挙げながら多角的に考えてみたいと思います。

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(以下、乱文失礼)

a)「実際の事例と無警戒化」
 本州ではオンリーシュ(ヒモ付き)で犬の散歩中に飼い主がツキノワグマに攻撃されて怪我をする事例が例年何件も発生するが、これはヒグマでも同様で、今回の札幌西区の事例のほか、2023年厚岸町の事例など、近年その手の事例が見られ始めた。どちらのケースも、もし犬を連れていなかったら攻撃されなかった可能性が高い。

 近年「見られ始めた」変化の原因に、ヒグマのヒトへの無警戒化(警戒心・忌避心理の低下)が絡んでいて、ヒグマの無警戒化というのは、ヒトへの警戒心や忌避心理・そして攻撃性に関して「ツキノワグマ化」と捉えることもできるので、まともな教育手法を欠いた現在のヒグマ対策のままなら、今後、本州の後追いの形で徐々に増える可能性が高いと思う。

b)「犬がクマを連れてくる?」
 北米活動している頃、オフリーシュ(ヒモ無し)の家庭犬が飼い主のところにクマを連れてくる体験談を幾つも聞いたが、聞き取りからすれば、このほとんどが犬が一方的にクマを刺激・挑発しつつ、クマに追われて飼い主のところに逃げ帰ってくる現象と捉えられる。

 クマ猟では、この原理を逆手にとってクマを銃器の射程内に入れる手法もあり、「犬がクマを連れてくる」と肯定的に語られる場合もある。優れたクマ撃ちとセットならば、猟犬として繁殖され猟犬としてクマ撃ちに仔犬期から育てられたアイヌ犬・紀州犬・甲斐犬など中型獣猟犬は最高のパフォーマンスを発揮し得る。が、ヒグマを連れて逃げ帰る敏捷な犬は無傷でも、そこに居る一般の飼い主はたまったものではない。
 実際、MSBDでも、生後6カ月以内の仔犬期にヒグマと対峙させた場合、そういう流れになることがあるため、仔犬・若犬の単独訓練では私もベアスプレーを持つようにしているし、仔犬の肩代わりをして追ってきたヒグマを迎撃させられた経験もある。

c)「犬を食べるヒグマ」
 先年、羅臼で庭につないである飼い犬を食べることを変に学習したヒグマが出現し、その個体は再三庭の犬を食べる習慣を得てしまった。学習までして人里のあちこちで犬を食べる事例は珍しいものの、人家の庭につないである飼い犬がヒグマによって食べられる事例は北海道各地で相当数あり、私の暮らすエリア(遠軽町)でもこの10年で2例ほどは確認されている。警察や行政に報告されないケースも多いため、実数はよくわからない。
 この手の事例では、通常ヒグマは初手から犬を食べに来ているわけではなく、犬の食べ残しなどの食べ物のニオイで寄ってきて、そこでうるさく吠えつく犬が邪魔でつい攻撃に転じて殺してしまい、死んだ犬をその場で食べるという成り行きが多いことがおよそわかっている。

d)「イヌとヒグマの関係は?」
 私の暮らす丸瀬布地区では、ちょっと前まで放し飼いの習慣が残っていて、夜になるとヒグマ調査用のトレイルカメラの前にも現れたが、その犬が残すマーキング等をヒグマはまったく警戒することなく無視して行動することがわかっている。基本的には、ヒグマは通常犬を怖れていないのだ。

 また、放し飼いの犬が忽然と山で行方不明となる事例が2000年台にはかなり見られ、飼い主らからは特にオス犬の半数近くが行方不明になったと聞くが、その犬は随所に仕掛けたトレイルカメラにもまったく映らなくなることからも、「飼い主の束縛から逃れ悠々自適に山で野生の暮らしをしている」とは考えられず、シカ死骸が絡んだケースでヒグマと悶着になり、突っかかっていって殺されてしまったケースが多いのではないかと推察はできる。

f)「犬がワンワン吠える意味」
 犬が威勢よくワンワンと吠えつくのは、野生界では効果的な威嚇にはなっておらず、ヒグマとしては「煩わしい・めんどくさい」程度にしか感じられないと推察される。ワンワン吠える行動は、強めのアピール程度の効果か。
 犬の「ワンワン」がヒグマ相手の威嚇・威圧になり得るのであれば、世界中の野生のオオカミがワンワンうるさく吠えてシカ死骸からヒグマを追い払ったりするように進化しているだろうが、そうはなっていない。

 「煩わしいから立ち去る」のと、「威嚇・威圧によって恐れおののき逃げる」のでは、どちらもヒグマを追い払ったように見えるかも知れないが、ヒグマの意識の点でまったく意味が異なり、前者では、時間を置いて再びその場所に接近することにもなりがちだ。ヒグマの意識改善・教育効果を狙うのであれば、後者に特化した犬種である必要がある。

 私がヒグマ対策の相棒犬を持つとき、通常犬(既存の純粋犬種)を避け、オオカミ特性に注目してMSBD(マグナムシェパード)という犬種を新たに作出したのは、世界に存在するほとんどの犬が、ヒグマより優位な立場に立てないことを確信していたからだが、MSBDによってあるヒグマの追い払いをおこなった場合、その個体の「再犯性」が極めて低い(ほぼゼロに近い)のは、上述の理論的な裏打ちもある。

 少なくとも私は、上述の犬を連れる危険性を重々に理解した上で、注意深く最適な相棒犬を作出し、必要な訓練を入れつつその犬に見合うよう自分も能力アップに日々努め、用心深くヒグマの山で立ち回っている。特殊な犬と特殊な人が野生のオオカミ並みのチームを成してヒグマを相手におこなっている活動。そこは誤解しないよう、くれぐれも見様見真似などがないよう、よろしくお願いします。

********************************************************

 さて、こうなると問題がひとつ残る。これだけ無警戒型のヒグマが道内各地で増えてヒトの活動域周辺でフラフラ歩き回っている状態になると、「じゃあ、犬はどこでどうやって散歩させればいいの?」という飼い主としての問題だ。

 もちろん、ヒグマの無警戒化を食い止める対策がきっちり組み込まれるのが理想だが、その対策が不在の現状では、安心して犬の散歩をできる場所が、残念ながら凄く限られ、その傾向は続くか、悪化する可能性のほうが高いだろう。

 実際、私の暮らすのは中山間地域にある比較的大きなアウトドア観光エリアだが、ほかの地域のように無警戒型のヒグマは今のところほとんどいない。だが、山林やヒグマのコリドーとなるような河川敷・防風林はまずアウト(ヒグマの移動ルート)。そして、恒常的に被害が発生するデントコーン畑の周辺もアウト(ヒグマの餌場)。交通事故死するシカ死骸が発生しやすい国道・道道周りもほぼアウト(ヒグマを誘因)。朝晩と夜間はやっぱりアウト(ヒグマの活動が活発な時間帯)。で、犬の散歩をしている観光客には、「日中にいこいの森の中がいいですよ」と苦肉の策を勧めたりもする。

 札幌や旭川・苫小牧など無警戒型のヒグマが既に増えている都市部周辺をはじめ、北海道内のほとんどの市町村においては、上のアウトに加え、市街地や住宅地の公園などにもヒグマが侵入してくるので、山林や河川の近隣全体はほぼアウトだろうし、クルマで街中に出かけていって公園や歩道で犬の散歩をするか、ドッグランを利用するか、それくらいしかないのでは・・・いやあ、こう書いている自分がイヤになるが。

 これではあんまりなので、少しハードルを下げてみよう。

 ヒグマが居る「かも知れない」山林や河川敷などの近くで犬の散歩をする場合、次のようなことが必須になるので確実に励行して欲しい。

(1)まず、先述の理由でオフリーシュは絶対に避ける。

(2)(ヒグマを知る)
 ヒグマへの意識を飼い主が高く持ち、ヒグマの行動や性質について座学でいいので可能な限り勉強しておく。

(3)(犬との会話1・犬の言葉を繊細に理解する)
 犬のボディーランゲージを細かく読み解けるように犬との関係性をつくり、飼い主自身が読み解く訓練する。そういう密なつながり方を常日頃から盤石にする。

(4)(犬との会話2・こちらからの指示・服従訓練)
 犬の吠える動作や動きを一瞬で止められる訓練を120%で入れる。(120%というのは、にわかに最大限の衝動が犬に生じた場合でも利くようなコマンド精度という意味。犬は、通常の状態で普通にできることが極度の興奮状態でできなくなるので)

(5)(ヒグマとの遭遇の可能性を事前に下げる)
 クマの出没情報に気を配り、出没している場所方面は避ける。

(6)(訓練したことを駆使して用心深く歩く)
 実際の現場では、「クマがいるかも知れない」という前提で用心深く周囲や犬の状態に集中して気を配り、犬におかしな反応が現れた場合は、速やかにおとなしくさせ、来た道をそのままUターンして戻る。

(7)ベアスプレーを持つ
 (どうやって吹くかもシミュレーションしながら勉強しておくように)

 このあたりは基本になると思う。

以上です。

 今日の投稿は、犬の飼い主さんをメインに宛てて書いてきましたが、ここに書いたことは、犬を介したヒグマによる人身事故をなくすためにも社会全体が共有し常識となっていかなくてはならない知識と思いますので、犬を飼っている友人・知人などに広く伝えてもらうことを、是非よろしくお願いいたします。

岩井

札幌市西区平和で2025年9月26日午後7時55分ごろ、男性がクマに襲われました。

《ベアスプレーを少し掘り下げ》(乱文失礼) 近年、無警戒なヒグマが増え、山岳部・人里問わずベアスプレーを用いる機会が増すにつれ、市場でもベアスプレーと謳った製品が氾濫しているが、多くの人は「一体全体どれを選べばいいのか?」というところでホン...
21/09/2025

《ベアスプレーを少し掘り下げ》

(乱文失礼)

 近年、無警戒なヒグマが増え、山岳部・人里問わずベアスプレーを用いる機会が増すにつれ、市場でもベアスプレーと謳った製品が氾濫しているが、多くの人は「一体全体どれを選べばいいのか?」というところでホントに悩ましいと思う。

 一部の専門家からは、何らかの基準で認定制度を示し、ツキノワグマ・ヒグマに用いることのできるベアスプレーを明確にすべきだという声もあがっている。
https://news.yahoo.co.jp/articles/42b117be91eca7f751efc047ddc5566196a88821?page=2
元記事:
https://dot.asahi.com/articles/-/265552

 私もその懸念は同意するのだが、実際に日本でどのような基準で誰が検証して認定するかということになると、各メーカーの公平性を担保する意味でも困難さがあり、例えばスプレーボトルの内容量がいくら以上でないとベアスプレーとしては使わないでくださいと推奨することはできるだろうが、なかなか「これとこれはベアスプレーです。こっちは違います」と線引きは、よほどハードルを下げないとできないように感じている。

 私自身、アラスカでの活動時代からGuard Alaska、Counter Asssaultなど幾つかの種類のベアスプレーを携帯し、吹く機会もいくらかあったし、2006年からしばらくはベアスプレーを用いて無警戒化している若グマの「忌避教育」をおこなって来たため、ベアスプレーでヒグマを撃退した経験数は日本では最も多いと思うが、その結果は「Counter Asssault CA230 およびその Stronger CA290」 というブランドによる実績だ。逆に、例えばAmazonのサイトを見ても、どのスプレーが勧められ、どれが勧められないかは、正直容易には判断がつかない。

 例えば今日現在、Amazonで過去一ヶ月に3000本以上売れたというUDAPという売れ筋ベアスプレーがあるのだが、それに関しては実際に2本調達しいろいろ可能な範囲でテストしてみた。「アメリカ森林警備隊採用品」と謳ってあり、ボトル容量もCA230と同等なのでいかにも効きそうなイメージづけには成功し、安価なため爆売れしているが、実際どうなのか?

 噴射を伴う幾つかのテストの結果、「ヒグマの現場では使わない」という判断を私自身は下した。成分分析をおこなっていないためカプサイシン濃度などは同等かも知れないが、その噴射の勢いとミスト(粉末)の広がり具合が自分の使い慣れたCA290・CA230より劣ると認めたためだ。

 ただ、Guard AlaskaもCounter AsssaultもUDAPも、現在ではEPA(Environmental Protection Agency=米国環境保護庁)によって、「内容量225g以上・カプサイシン濃度1~2%」という必要条件をクリアしていて、一応はベアスプレーとしての製品認定を受けている。日本におけるベアスプレーの認定基準をEPAに丸投げしちゃえば、だいたいこのあたりがベアスプレーの条件ということにはなるだろう。

 このような事情のため、このページでもベアスプレーの定義はできないのだが、このページでは、あくまで私自身の持つ信頼性から「これ!」というベアスプレーをあえて挙げてみようと思う。
 単刀直入に「Counter Asssault Stronger CA290」。これ以上のベアスプレーを私は知らない。次いで、「Counter Asssault CA230」 ただ、実際にヒグマと至近距離で対峙した場合に後悔しないためにも、私はStrongerを勧める。

 私は常々現代のヒグマ問題の本質は、数云々ではなく「餌付けと無警戒化」と話してきたが、それぞれの解消策として「クマ用電気柵とベアドッグ」がある。Counter Asssaultは、1980年代だったと思うがモンタナ州で開発されたが、その開発には2名の非常に優れたクマ専門家が深く関与している。一人はCharles Jonkel、もう一人はCarrie Hunt。 Jonkel氏は2000年には人身被害防止用のクマ用電気柵を考案し世に提示した人物。Hunt氏はNPOピッキオが軽井沢に導入したカレリアンベアハウンドによるベアドッグ(KBD)を考案し、自ら北米に広げてきた人物。 どちらもクマ問題の急所を知り抜いてピンポイントで突いてきている人物だ。その二人が開発したベアスプレー「Counter Asssault」には、彼らの科学的な思考と本気が存分に込められていて、今なお最良のベアスプレーと私は感じている。

なお、
 私の認識に近い北米のサイトを見つけたので紹介する。
https://bearwise.org/

この中にベアスプレーのページがあり、
https://bearwise.org/bear-safety-tips/bear-spray/
 この中には、仮に銃器を持っていたとしても、突発的なクマとの至近距離遭遇では銃器ではなくベアスプレーを用いたほうが安全でメリットも多い、なんてこともちゃんと書かれている。

また、
Stephen Herreroなどによるデータ的な考察については
https://bearwise.org/wp-content/uploads/2017/07/efficacy-of-bear-spray-smith-et-al.-2010.pdf

 なお、ベアスプレーを一定レベルで正しく使った場合、確実に効果が認められるのは92%で、その場合、クマによって怪我をした人がいないということ。また、ベアスプレーを携帯している至近距離遭遇の事例では98%の事例でクマの事故を回避できたことなどが示されている。どんなケースでも、ヒグマと至近距離遭遇を起こしてしまった時点で、ベアスプレーを用いても100%大丈夫とは言えない点は、自覚が必要だろう。

以上です
岩井

対人用の催涙スプレーが、クマを撃退する「クマスプレー」とうたって販売されるケースが急増している。クマの専門家は「効果を信じた人が危険にさらされかねない」と危惧する。

《大雪山国立公園・高原温泉での決断》 このページでは、ヒトへの警戒心が低下した「無警戒グマ」への警笛をその解消策とともに発し続けていますが、先日、国立公園でこのような大きな決断が下されました。登山計画の見直しを余儀なくされている方も多いと思...
08/09/2025

《大雪山国立公園・高原温泉での決断》
 このページでは、ヒトへの警戒心が低下した「無警戒グマ」への警笛をその解消策とともに発し続けていますが、先日、国立公園でこのような大きな決断が下されました。登山計画の見直しを余儀なくされている方も多いと思いますが、この決断自体は、私は間違っていないと思います。

 大雪山国立公園は比較的アクセスが容易で、潤沢なヒグマの生息地として観光客・登山者に人気のあるエリアでしたが、近年、あちこちに無警戒グマが現れ事故が危惧されてきた空間です。
 ただ、誤解がないよう注意してもらいたいのは、国立公園内にヒグマが居るから閉鎖なのではなく、ヒトに対して無警戒で逃げもしないヒグマが居るためにそのような措置がとられたということです。

 このような大規模な閉鎖が比較的長期におこなわれた場合、ヒトの活動が閑散とするため、ヒトを警戒する普通のヒグマは、閉鎖された空間に侵入し活動しやすくなります。一方、閉鎖の根拠となった無警戒型のヒグマは、餌付けが絡んでいない限り、特別行動を変えることはないのではないでしょうか。

 では、次なる課題になりますが、
 この閉鎖措置の中でどのような対策をとったら、来年以降、従来通り安全にこのエリアを人々に楽しんでもらうようにできるか?という問題になりますが、単純に問題のヒグマを殺して排除しても、そのヒグマがヒトに対する警戒心を欠如していった原因が残されたままなので、遅かれ早かれまた別の無警戒グマが現れることは、まず間違いないでしょう。
 かといって、観光客・登山者の方々にベアスプレーを持ってもらい「無警戒化を起こしはじめたヒグマに3~4mの距離からスプレーを吹きかけましょう」などというリスキーな方策は、確かに効果的であっても現実的ではありませんから、周囲一帯のヒグマにヒトへの警戒心を持たせることのできる経験と技術を持った専門家を介在させる、という選択肢にになるのではないかと思います。

 農地の被害も人里への軽率なヒグマの侵入も、そして観光エリアの無警戒グマの問題も、そういうヒグマが仮に現れたら対応するというのはこれまで通りでいいとして、それよりも、そもそもそういうヒグマが現れないように何をしたらいいか、ヒグマにどういう働きかけをしたら実現できるかを考え、確実に実行することが何よりも重要と私は考えます。

 さて、これから艶やかな秋山シーズンですが、そんなことも頭のどこかにちょっと置いてもらいつつ、安全に、大いに楽しんでください。

〈沼巡りコース、紅葉期も閉鎖決定〉

関係機関と協議を続けていましたが、残念ながら、沼巡りコースは今期閉鎖が決定しました。
まずは今期予定されていた方々の登山計画の見直しをお願いいたします。
シャトルバスによる交通規制は、銀泉台線のみ行い、高原温泉線は行いません。
沼巡りコースは閉鎖ですが、緑岳登山道は通行できます。
まずは、速報にて。
今後詳細をお伝えしていきます。

おかざき

#大雪山山守隊
#ヒグマ情報センター
#高原温泉
#大雪山国立公園
#北海道山岳整備
#高原温泉沼巡りコース
#ヒグマ

《ヒグマの無警戒化はかなり危うい状況に来ています》 羅臼岳山麓のヒグマによる死亡事故以来の投稿を読んでいただいているという前提の投稿になります。https://www.uhb.jp/news/single.html?id=53476第一点 ...
03/09/2025

《ヒグマの無警戒化はかなり危うい状況に来ています》

 羅臼岳山麓のヒグマによる死亡事故以来の投稿を読んでいただいているという前提の投稿になります。

https://www.uhb.jp/news/single.html?id=53476

第一点
 前投稿で書いたように、無警戒化が進んだヒグマが増えているような地域周辺の登山では、総じてヒグマのリスクが高じていると思います。ヒトの存在を鈴やラジオでアピールする方法も、まったく通用しない個体があると考えられます。
 事前のヒグマ関連の情報収集を念入りにおこなって登山計画を練って欲しいと思いますが、もし仮に「無警戒・餌付け・攻撃性が高い」という三つの観点で怪しい個体の存在が疑えれば、計画を中止していただくことも厭わず決断することを、お勧めします。

第二点
 ベアスプレーの噴射としては、10mというのは明らかに遠すぎる距離です。幸運にも相手のヒグマが退散してくれたので「結果オーライ」ということには確かになりますが、もしそのクマがスルスルとそのまま接近してきた場合、肝心な場面でガス欠になった可能性があります。「10mで吹けば大丈夫なんだ」という錯誤は決して起こさないよう注意してください。噴射距離の原則は3~4mと記憶しておくよう、強く推奨します。

 ※私が単純に「ベアスプレー」と表現した場合、「カウンターアソールト」もしくは「カウンターアソールト・ストロンガー」を意味し、私自身がだいたい守っている噴射距離は3m以内ですが、その条件では、私自身の経験では十数例ヒグマに対して使用し撃退できなかった事例が今のところなく、もちろん「絶対に効く」とは言えないものの、ベアスプレーのヒグマ撃退率は非常に高いと言えると思います。

 推測にはなりますが、ベアスプレーの品質が悪かったり、今回のように吹き方が悪かったりして、それを噴射された無警戒グマが十分スプレーとヒトを忌避・警戒しなかった場合、その時は退散しても何かの拍子に再度人に接近し攻撃にいたる可能性も高いと思います。

今日は、ワンポイントで以上です。

岩井

8月30日、大雪山国立公園の山中で、1人で登山中の男性がクマと遭遇しました。男性はクマが近づいてきたため、スプレーを使い、無事でし…

《踏み入る者と暮らす者―――その戦略の共通項》こんにちは、岩井です。 先日の投稿に対して、「私達は、実はこれらの事件事故に加担している為、当事者意識を持ち生活し、新たな山行を身につけないとならないですね。」という、よく考えるととても意味深で...
29/08/2025

《踏み入る者と暮らす者―――その戦略の共通項》

こんにちは、岩井です。
 先日の投稿に対して、「私達は、実はこれらの事件事故に加担している為、当事者意識を持ち生活し、新たな山行を身につけないとならないですね。」という、よく考えるととても意味深で重要と思われるコメントが入りました。
 ヒグマに直接関係ないかも知れない誰かがヒグマの事件・事故に「加担している」というのは、どういうことでしょう。また、どんな「当事者意識」で生活したり山に入ったらいいのでしょうか。

 ヒグマの専門家の間では、「そこに触れちゃダメだよ」という一種のタブーのようなことが幾つかあって、その一つが上述の「加担」や「当事者意識」に関わる部分です。確かに「言い方」が難しく、そこに触れるのはちょっとリスキーではあるのですが、風雲急を告げる現在のヒグマ問題のありようからすると、そのタブーをタブーのままにしておくべきとも思えず、今日はそこにちょっと踏み込んでみたいと思います。

 ともすると、私の物言いにカチンと来る場面があるやも知れませんが、そこは冷静さを保ち、事実本意に道理を追ってもらうことをよろしくお願いいたします。

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(以下、乱文失礼)

■踏み入る者の戦略―――ベアカントリーでのセオリー

 例えば山の縦走に入ったとき、テントに食料その他を置いたまま近隣の散策に出ている間に、ヒグマにテントを暴かれて食料を全部持って行かれてしまったとする。その場合、テントは壊されるは食料を失うはで、その登山者にとっては明らかな被害なわけだが、事実本意にいろいろを追っていくと、ことはそれほど単純ではないことにも気づく。

 登山者のテントを襲撃すれば山では経験したことのない世にもおいしい食べ物が手に入ると学習したヒグマは、登山者がやってくるたびに「おいしい食べ物」を想起し、その登山者を遠巻きにマークし、ときに接近するかも知れないし、その人為物の味が彼ら野生動物にとってはあまりに鮮烈すぎるため、ついヒトが寝静まった夜半にテントの襲撃を思いつくかも知れない。実際、アラスカでも北海道でも、その経緯が疑われるヒグマによる人身事故が起きている。

つまり、食料を奪われた登山者は、個人としては明確な被害者でありつつ、そのエリアを訪れるすべての登山者に対して、あくまで過失としてだが加害要素を持っていることになる。

 まだ私が学生時分の単独行の際、アラスカとカナダの国境付近の名も知らぬ森で私自身そのミスを犯してしまった経験があって、夕飯に食べようと朝つくってテント近くに置いておいた鍋が、戻ってみると忽然と消えていた。周囲を探索した結果、鍋は修復困難な状態で見つかり、痕跡からその犯人はヒグマ(グリズリー)ではなくブラックベアであることがわかった。
 その森はヒトの存在が皆無の空間だったが、その事件から2週間ほど、私はそのクマを殺す覚悟で待ち構えてその場に暮らした。その構えがクマの側に悟られたか、結局そのクマの再襲撃はなくその場所をから移動する判断を下したが、その間、自らの加害要素が身に染みて感じられ、苦い顔でどこか切迫するとてもイヤな毎日だった。

 当時のアラスカやユーコン州では、ハンティングやフィッシングのベースキャンプがクマに荒らされる事例が散発していたので、もしかしたら私の鍋をへこませたクマもその学習で私のテントまで来たのかも知れないが、まあ、それは免罪符にはならない。

■人為物の正体
 人為物―――畑の作物やコンビニの弁当やスキヤキの残りやお菓子などなど、人間が普段食べているものは、長い年月でおいしく甘く品種改良されたり、過剰なまでの調味料・香料で濃く味付けされたりで、自然界にはない特殊な食べ物であることが多い。それを実感したければ、ちょっとした郊外を散策し、ヒグマが食べそうな草や何かを口に運んで、呑み込まなくていいのでモグモグ咀嚼(そしゃく)してみればいい。中にはマタタビやコクワなどキウイさながらの甘くておいしい実もあるが、だいたいにおいて味気ないというか、コンビニに置いてある食べ物とは別種の食べ物に思えるだろう。それも難しければ、たった一日でいいので、調味料や香料・油の類いを一切使わず素のまま食材を食べることをトライしてみてもいい。野生動物にとっての人為物の正体が少し実感としてわかると思う。

■暮らす者の戦略―――人里のセオリー

 登山者というのは自己防衛・自己責任の意識も比較的高く、登山の現場である山岳エリアに関しては上の論を比較的すんなりと理解していただけると思う。
 問題はここからだ。
 登山者が皆で過失に注意し、危険な状態をつくらないように努力するのとまったく同じく、ヒグマの生息地に隣接する地域では、自分らの地域の安全性を確保するために、同様の注意や努力を必要とする。「お互いに守り合う発想」と言えばいいか。

 今年、交尾期が終わって食物端境期に入るあたりから、渡島半島の海岸線に並ぶ上ノ国・江差・厚沢部の3町で目撃情報が頻繁に報告されるようになり、家庭菜園のスイカ・メロン・コーンが食害に遭う事例が毎日のようにメディアを賑わしてきた。yahooニュース内で「上ノ国 ヒグマ」で検索すると50件近いニュースがヒットしてくるほどだ。
 しかし、正直なところを言うと、どうして今頃になってこの手のニュースを自らトレイルカメラまで使ってメディアがこぞってつくりたがるか、そこがよくわからない。メディア側の下世話な作為が働いているのではないかとさえ疑いたくもなる。

 私が電気柵を初めて見たのは2005年の上ノ国。当時、ヒグマの防除や生態などを総合的に研究する環境研(現・道総研)の道南野生生物室が江差にあったが、検証最終段階にあった上ノ国のリンゴ園のヒグマ用電気柵だった。山に隣接する甘い香りが強く漂うリンゴ園では、その電気柵で完全にヒグマの侵入を防いでいるように見えたが、疑い深い私は「周囲にヒグマなどいないのでは?」と考え、即、リンゴ園の裏山を探索した。が、すぐヒグマの新しめの痕跡を発見し、正直驚いた。「あんなもので本当にヒグマを防いでいるんだ」と。

 しかし一方その同じ視察で、江差を挟んで海岸線を北上した厚沢部町では、メロンを栽培する家庭菜園に最低二頭のヒグマが降りていて、さんざんな被害が生じていた。
 「今頃になって」とメディアへの疑念を持ったのは、恐らく2005年当時から、この地域では同じ構図で同じような被害やヒグマの出没があって、それが延々20年間多少の悪化やゆらぎを持ちながら漫然と続いている可能性が高いからだ。

 近年ではヒグマの出没状況を地図上で可視化した「ひぐまっぷ」というのがあって、これは誰にでも閲覧できる。ここでは、皆さんが応用できるよう、あえてその「ひぐまっぷ」を用いて簡単な考察をしてみよう。
「ひぐまっぷ」トップ:
https://higumap.info/login?principal=anonymousUser

 例えば、上ノ国町の今年(2025)の「ひぐまっぷ」と5年前(2020)のものを対比検証してみると、その一端が明瞭に浮き出てくる。細かい出没カ所に年ごとの差はあるが、2020・2025年のヒグマの出没傾向・数には大差なく、変化は自然のゆらぎの範囲内だ。(添付写真)

 「捕獲をしないからこうなる」と早計な意見を言う人もいるが、では、二つの年度の上ノ国町のヒグマの捕獲数はどのようになっているだろう?
 ひぐまっぷから捕獲の数を拾うと、
 今年(2025)、6月21日~8月21日の2カ月間に捕獲されたヒグマの数は10頭。
 5年前(2020)、7月1日~8月31日の2カ月間に捕獲されたヒグマの数は8頭。

 交尾期から端境期にかけての捕獲の傾向も似通っていて、その数は決して少ない数ではない。

 つまり、「捕獲をしないから被害や出没が高じたまま解消していかない」という意見は論拠を持たず実際に成立していないし、じつは、捕獲のみによって被害・出没を解消に向けること自体、不可能かも知れないのである。

 上記3町村の各メディアのニュースでは、家庭菜園の被害を受けた地元住民の感情として「とにかく恐い」「ショック!」「早く捕獲してくれないと家庭菜園もできない」などの意見が多いようだ。被害感情からしてもその気持ちはわからなくはないが、何か忘れていやしないか?と素朴に思う。周囲の人里内には、家庭菜園に無関係な隣の家庭もあるだろうし、近くには小学校などもあるだろう。
 そして、もし仮に20年間も同じ構図で同じヒグマ出没・被害の状況が続いているとすれば、慢性的にこの地域が危険な状態にあり、捕獲一本槍では延々将来にわたってこの状況が続くことをも示唆される。

 ヒグマの専門家の間では「被害者の痛み」という言い方がなされ、それを最優先して考えるべきだとの論調が根強くある。そこが私はちょっと違っていて、テントの食料を持って行かれるのも家庭菜園のメロンを食べられるのも、それは厳しく言えば自業自得の範疇にある。が、何の落ち度も過失もなく必然的に、半ば強制的に、ただ暮らしているだけでヒグマの危険にさらされている人もいて、特に地域の場合は不特定多数の住民が子供に到るまでその危険に晒される事態になってしまう。その人らの精神的な被害や実際のリスクを解消することを、私自身は最優先に考える。もちろん被害を防いだ上で。
  
 勘違いしないで欲しいが、上ノ国は今年これだけメディアを賑わせ一躍有名になり、誰の記憶にも新しいので登場してもらっただけで、上ノ国を吊し上げるのが目的ではない。上ノ国町が特殊なヒグマ対策で特殊な危険性を高じさせているというのではなく、全道津々浦々、ほとんどの市町村で大なり小なり同じ構図・同じ対策・同じ被害・同じ出没になっていて、総じて悪化を伴いながら被害や出没・リスクは慢性化してきている。

 お恥ずかしい話だが、我が遠軽町でも、観光エリアの人身事故防止の観点でベアドッグを導入しヒグマの側を人から遠ざけ安全確保を実現させた以外、農業被害対策では箱罠導入年から20年間絵に描いたような捕獲一本槍でヒグマ対策を続け、被害が減ったかというと否。むしろ農業被害は増え、高止まりしたままお手上げ状態に陥っている感が強い。

 上ノ国が特別ではないという前提で、引き続きこの町に登場してもらうが、では、今年のような上ノ国町の状況で、一体全体どうやったら被害をなくし、地域全体の安全性を確保する方向に向けられるだろうか。

 簡単な話、道理はテントの食料と同じなのだが、自己の責任において「人為食物はヒグマに食べさせないようにきっちり管理をする」ということが原則だ。自宅に断熱材を入れるとか家屋やクルマにカギをつけるとか、まあ、それと同じ。ヒグマの防除では、いろいろ方法はあるだろうが、最も労力が小さく、安価で、安全で確実な方法が、上述リンゴ園で環境研が完成させた「ヒグマ用電気柵」だ。
 ただこれは、上述したように地域の問題という側面も持つため、公的機関の助成金・支援金などを最大限に使って個人の負担が軽くできるよう制度的な整備もすべきと考える。

 電気柵に関しては、最近も「クマが電気柵を越える」失敗事例の画像が失敗した理由も記されずメディアに掲載され、電気柵の効果・信頼性に対してミスリードを助長しそうなケースがあったばかりだが、そういう中途半端な記事からのイメージはいったん破棄してもらうのがよかろうと思う。電気柵というのは、セオリーを十分理解し、あるいは、しかるべき電気柵の専門家に助言を仰ぎながら採用すれば、極めて高い確率で農地や家庭菜園をヒグマから守ることができ、しつこいようだが、ひいては安全な地域・安全な暮らしを確保することができる切り札的なツールだ。

 捕獲判断をしたヒグマに関しては全力で獲る。それはこれまで同様でいいが、そもそも被害や出没自体が減れば、捕獲判断を下す事例が格段に減り、その分ほかの対策に労力・経費を回すこともできる。必然的に地域住民や駆除ハンターのリスク全体が減る。

 ただ、地域のヒグマ対策を、どんなことを優先させてやっていくかは、私が決めるべきことではない。地域の人らが自分らの町をどんな町にしたいのかを皆で考え、それに向けて形作っていくべき「自分の町の設計思想」みたいな話、それが冒頭に書いた「当事者意識」だ。専門家ができるのは、それぞれの設計思想、めざす町の姿がきっちり実現していくように、解明されてきたヒグマの事実を提示し、対策の技術を授けアシストすることくらいだろう。

 そのヒグマの専門家が、仮に四面楚歌になるとしても、被害の加害要素をタブー視したり、被害者の痛みばかりを最優先にしたりするふうでは、いや、そんなふうだから上ノ国町を含めた全道の各市町村で現在の危険な状況に陥り続けているのではないのか? 本気で被害を防いで地域ごとの安全な暮らしをめざすなら、加害要素をも毅然と示した上で、事実本意に合理的な手法を示すべきではないのか?
 そんなふうなことを自分は感じてやまない。

                        文責:岩井

《登山道の歩き方について》 8月14日の事故が起きたのが羅臼岳山麓の登山道ということで、前投稿には登山・アウトドアを楽しんでいる方々の来訪が多かったように思う。そこで今日は、山岳地帯も含め一般的なベアカントリー(ヒグマの生息地)の歩き方の基...
23/08/2025

《登山道の歩き方について》

 8月14日の事故が起きたのが羅臼岳山麓の登山道ということで、前投稿には登山・アウトドアを楽しんでいる方々の来訪が多かったように思う。そこで今日は、山岳地帯も含め一般的なベアカントリー(ヒグマの生息地)の歩き方の基本から重要な点をピックアップして書いてみようと思う。山岳の楽しみ方は人それぞれあると思うが、あくまで対ヒグマのリスクマネジメント観点での、ちょっとしたお話として気を楽に読んでもらえたらと思う。

 私自身は若い頃からピークへのこだわりが乏しくて、沢登りや獣道を行く散策も多く、たまに登山道を使っても、道すがらいちいち何かに興味を持ったり、木イチゴを口へ運びながら歩いたりなのでピークハンターとしてはまずまず失格だが、登山道でどうしても気になって仕方がなかったことがひとつある。まるで何かに取り憑かれたように俯き加減で周囲も見ず黙々と登っていく登山者の姿。若い頃読んだ新田次郎の『孤高の人』が交錯し、どことなく感心しつつ、違和感を拭えずにいた。

 あるとき、私が登山道脇の岩に腰掛けて休憩していると、下山する登山者が登山道上を降りてきた。挨拶のひとつでもしようと漫然とその姿を見ていたが、その彼は濡れた足元の地面に集中し、周囲に目配せひとつせず黙々と近づいてくる。結局、私に気がついたのは10mを切った段階だった。腰掛けて休憩していたのがヒグマでも、やはりその距離まで彼は気付かなかっただろう。

 ところ変わって15年前の札幌。
 札幌市の裏山の登山道でしゃがみ込んでヒグマの痕跡調査をしているとき、音もなく疾風の如く尾根方面から駆け下りてくる若者の集団があった。きっと何かの部活の体力トレーニングなのだろうが、正直「危ないなあ」と思った。私はその時ちょうど比較的新しいヒグマの糞を検分していたところだったからだ。あのとき、音もなく走って近づかれたのがヒグマだったらどうなっただろうと。

 20年ほど前からか、従来的には山の散策を目的としてつくられた登山道を、かなりのスピードで走り回るトレラン(トレイルラン)の大会なども盛んになり、必然的にその練習で登山道を利用する人も増えた。が、私自身はこの流れには懸念が大きく、警笛を鳴らし続けてきた。トレランをやめろとまでは言わないが、もしやるのであれば、対ヒグマのリスクマネジメントとして相当な準備と対策を講じないとかなり危険なアクティビティにならざるを得ない。

 ベアカントリーやその周辺で「走る」行為がマズいとはじめに考えさせられたのは、まだアラスカで活動していた頃で40年ほど前か・・・キーナイ半島のRussianRiverのキャンプ場から続く木道上で、朝一人でジョギングをしていた女性がヒグマから攻撃を受けて死亡した事故がきっかけだった。事故当時のRussianRiverにはレッドサーモンが累々と遡り、自然な成り行きで何頭かのヒグマがそのサーモンを食べに降りていた。キャンプ場の付随施設の木道であっても、その川に沿うように設置された木道上は、通常のトレイル・登山道以上に用心深く歩かなければならなかったはずだが、「木道」という人工物が彼女の油断をまねいたところもあったように想像はできる。

 RussianRiverの事故に関しては、「走る」という行為のほかに被害者の生理の状態が絡んでいるとも考えられたため、何がどの程度どう影響して死亡事故にまでつながったか明確にはできなかったが、その後、北海道丸瀬布の林道上でMTBによって検証をおこない、「無音の速い移動スピードは事故につながる要素」であることが確かめられた。何度かのヒグマとの至近距離遭遇で、最も危うかったのは10m以内で林道脇に若いヒグマを感知した事例で、その時はブレーキをかけると余計に危険と感じたため、そのままのスピードで気付かぬふりしてヒグマの脇を行きすぎた。ヒグマとの最短接近距離は、ベアスプレーの射程内・3m程度だったと思う。

 登山道は人知れずヒグマが利用していることも多く、また、時期によってヒグマが好んでエサ場としている空間も含まれる。私の地元の北大雪では、初夏までのフキの群生地や晩夏のウラジロナナカマド林、あるいは稜線筋ではハイマツの実やコケモモ(ローブッシュクランベリー)の群生なんかをヒグマは好んで利用している。夏のちょっとしたガレ場ではアリをひたすら食べるヒグマだっている。季節に応じた細かいヒグマの食物に関してはここではさておき、とにかく、ベアカントリーに伸びる登山道は、ヒグマのエサ場・移動ルートを縫ったり重複・交差したりしながら進んでいる。そういう性質の道ということだ。

 私のような散策スタイルの登山を誰にでも勧めるわけではないが、現在の北海道の登山道はほぼ全部ベアカントリーであるという認識をきっちり持つことと、ベアカントリーの安全な歩き方としては「五感をフルに使って用心深く歩く」というのが大事な基本になると思う。その鉄則を忠実に守ることで、新しいヒグマの糞や足跡・食痕・踏み跡などの痕跡を思いのほか発見できるだろうし、自分の近隣に存在するヒグマを早い段階で感知し対応に移すこともできる。

 上述したように、自分がヒグマの生息地に踏み入っていることをきっちり認識していれば、取り憑かれ歩きやトレランにはなろうはずもないのだが、そういう移動の仕方では鉄則の「五感をフルに使って用心深く歩く」をほとんどできないだろうし、前方にヒグマが居た場合、それをまったく予測も感知もしないまま、音もなくスルスルとそのヒグマに一方的に急接近してしまうことになりがちだ。それは、最も効果的にヒグマを切迫させる方法だ。
 もちろん、私が林道で検証に使ったMTB(マウンテンバイク)も、登山道ではヒグマへの一方的な急接近を起こしやすく危険度は高い。

 ちょっと例を挙げてみよう。
 登山者にとってヒグマの知識というのは「実地で使ってなんぼ」だと思うが、例えば8~9月に亜高山帯のハイマツの実をヒグマはよく食べるという知識があれば、登山道が通り抜けるハイマツ林の中にヒグマが居る可能性を事前に疑えるだろう。そのハイマツ林の手前でいったん止まり、4人なら4人のグループでまとまり、耳を澄ませたり、逆に大きめの声で会話したりして、ヒグマの存在を感知したりヒグマが逃げる時間的猶予を与えたりすることができる。場合によってはベアスプレーのロックを外して4人まとまって進むこともできるだろう。
 もし仮に単独行で入っている場合にも、状況的にあまり危険度が高いカ所に関しては、ほかのグループと合流して通り抜けることも考えたほうがいいし、登山者はどこかに携帯電話で通報する以前に、同じ山塊に居る登山者同士で、できるだけ正確に情報共有するよう心がけ、状況によって協力するのがいい。登山といえ体力任せに歩くのではなく、脳をメインに駆使して歩くよう心がけるといいと思う。

 もう一つ例を。
 例えば北大雪山塊の平山稜線筋近くで8月にコケモモを食べているクマを100m程度の距離で見かけたらどうすればいいだろう? 100mであれば、登山ルートとの位置関係で「何もせず通り過ぎる」という方法もないわけではないが、一応「ここに人がいるからね!」とアピールしておいたほうがいいかなと思う。アピールの仕方は、わかりやすく手を大きく振ってヒグマに対して大声で何か話しかける方法でいいが、これはあくまでアピールであって威嚇ではない。
 ただ、このアピールも、立ち止まってやってしまうと、それに気がついたヒグマがどちらの方向に姿を隠すか、ヒグマなりになってしまう。これから進む方向にヒグマが逃げて隠れると、結果的に、登山者が隠れたヒグマを追う形にもなるので、ちょっと気色悪い。なので、ヒグマの行動をコントロールすることも考える。仮に下山途中で見かけたが場合は、あくまでわかりやすく下方向に歩きながらアピールをすると、だいたいのクマはその進む方向の反対側に走って行って身を隠すので、アピール後の行動が安心できる。

 このほかに
・複数でまとまって行動する
・犬を連れて入らない
・ベアスプレー(推奨カウンターアソールト)を携帯
などの、登山者のヒグマ対策の基本の基から
・コロンなど香料のニオイを持ち込まない
・飲み物は甘いジュースよりお茶・水を
・食料はベアプルーフコンテナに保持
など、一歩進んだ細かな対策までいろいろあることになる。全部はやらなくてもいいのかも知れないが、できるだけ対策を揃えて累積させ、危険から遠ざかる努力をする。

さて
 ここに書いたのは、あくまでヒトを一定レベル以上に警戒したヒグマの場合であって、知床や大雪のように登山者が多く人慣れを起こして「逃げない・接近する」などの行動パタンのヒグマが居る山域では、そのままでは通用しないことも多い。ヒグマの「ヒトへの無警戒化」が進んでいる山塊では、山行直前10日間の無警戒行動をとっているヒグマの情報を念入りに確かめ、場合によっては、登山中止の判断も厭わず下して欲しい。環境省や森林管理署などによって入山禁止の措置がとられていないから安全と思うのは早計だ。

 山行計画を立てるとき、知床や大雪などではその登山エリアの怪しい行動のヒグマ情報を確認すればいいが、一般的な登山ルートでは、じつは常日頃のyahooやTVのニュースでもかなり参考になる。推理すべきは、その登山ルート上のヒグマがどの程度ヒトに対しての無警戒化を起こしているか?だ。

 登山エリアの麓にはだいたい人里があるが、その人里でゴミや家庭菜園などの人為物の餌付けが慢性的に起きていて、フラフラと人里内を歩き回るようなヒグマが多い場合、そこから続く山塊にも無警戒型のヒグマが比較的多い可能性を疑うべきだろうし、ヒトにつきまとうようなヒグマの出現率も高い傾向になるだろう。例えば、今年死亡事故のあった福島町や、端境期に入って人家近くでメロンやスイカの被害が毎日のように相次いでいる江差町・上ノ国町・厚沢部町から続く山塊の登山は、私ならまず敬遠するし、ヒグマの分散距離が50㎞100㎞という事実からすると、かなり広範囲にわたって神経質にならざるをえないだろう。
 決して偶然ではないと思われるが、メディアにもあまり取り沙汰されない事例として、2023年、福島町と上ノ国町にまたがる大千軒岳の登山道において、大学生が一人ヒグマに襲われて死亡し食害を受けた事故が起きている。

 しつこいようだが「人慣れグマ」「無警戒型ヒグマ」「ヒト舐めグマ」「新世代ベアーズ」、いろいろ呼び名はあるが、ヒトに対しての警戒心が低下しヒトを軽視するようになったヒグマは、何かの拍子にヒトを攻撃しやすいし、その攻撃でヒトが死亡した場合、自然な成り行きでその死骸を食べ、結果、危険を伴うことなく容易にヒトを捕食できると学習しひとつの摂食行動パタンとしてしまう可能性も絶対にないとは言い切れない。(※ただ単にヒトを食べたヒグマがヒトを襲うようになるとは言えない)
 つまり、山岳の登山エリアで登山者がヒグマに食料を奪われおかしな学習をさせないことはもちろん、その麓の人里エリアにおいてヒトに対してのヒグマの警戒心が低下することをきっちり防いでいかないと、登山エリアにおける安全性も脆弱なものになる。
 そういうメカニズムも十分踏まえつつ、人里内の餌付け(ヒトからすると被害)や、観光エリアや都市部周辺におけるヒグマの無警戒化を捉え、ヒグマの管理やリスクマネジメント、ヒトとヒグマの共生を考えなくてはならないだろう。

補足)
 今回の羅臼岳山麓の事故では、事故現場となった岩峰付近が夏期のヒグマの有力なエサ場(アリ)となっていたことに加え、そこから素直に斜面を降りてもピリカベツ川経由でも2㎞弱で、知床でも無警戒グマのトラブルが慢性的に頻発してきた岩尾別川流域に出る。そういう地域であるというエリアの基本条件は登山者によって変え難いが、その上で、被害者が単独行動をとっていたこと、かなり速いペースで登山道を下っていたこと、ベアスプレーを少なくとも使える状態で持っていなかった可能性があることなどのネガティブな条件が重なったと捉えることができると思う。

 憶測でしかないが、もし仮に、被害者が友人と離れることなくまとまってゆっくり下山していたらと考えると悔やまれて仕方ない。
 現地がベアカントリーに慣れていない平均的な登山者もこぞって入山するルートであることを考えると、環境省なり管理主体の登山道閉鎖のタイミングが適切だったかどうかも再確認を要すると思われる。

事実関係についてまずまず信頼できる報告。
https://www.shiretoko.or.jp/wps/wp-content/uploads/2025/08/2025%E5%B9%B4%E7%BE%85%E8%87%BC%E5%B2%B3%E7%99%BB%E5%B1%B1%E9%81%93%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E3%83%92%E3%82%B0%E3%83%9E%E4%BA%BA%E8%BA%AB%E4%BA%8B%E6%95%85%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E8%AA%BF%E6%9F%BB%E9%80%9F%E5%A0%B1.pdf

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岩井

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