16/08/2026
近年、「殺処分ゼロ」や「地域猫活動」、「適正飼養」といった言葉をよく耳にするようになりました。命を守るために日々尽力されている行政職員やボランティアの皆さまには、心から敬意を抱いています。
一方で、私は時折このような疑問を抱くことがあります。
「なぜ私たちは、街で生きる犬猫の数を減らすことには熱心である一方、ペットブリーディングによって次々と生み出される命については、あまり議論しないのだろうか?」
ペット市場は巨大な産業であり、多くの人々の暮らしや雇用を支えています。しかしその陰で、命そのものが「商品」として消費されている側面も否定できません。
街で生きる猫は「管理されていない存在」として問題視される一方で、ブリーディングによって生まれた命は「商品価値」さえあれば容認される――同じ命であるにもかかわらず、この差はなぜ生じるのでしょうか。
現在、国内の市場に出回る犬猫のうち、1〜2割に相当する頭数が毎年「繁殖引退」「月齢経過」で商品価値を失い、保護犬猫のような立場に移行していると推計されています。本来は繁殖業者が終生飼育の責任を負うべきですが、その実態は覆い隠されたままです。結果として、社会全体で本当に救うべき命が見過ごされる原因にもなっています。
もちろん、野良犬や野良猫のTNR(不妊去勢手術)活動や捕獲は、地域トラブルの軽減や殺処分削減において非常に重要な役割を果たしています。しかし、その努力が単に「命を排除すること」だけに向けられるのではなく、「いかに共に生きるか」という本質的な問いとも向き合う社会であってほしいと願います。
このままでは近い将来、私たちが犬猫を迎える手段は、僅かに残る個人の無償譲渡以外は「購入する」か、「商品としての売買対象から外れた属性」という選択肢しか残らなくなってしまいます。
海外には、ワクチン接種や地域ぐるみの管理を行いながら、野良犬や野良猫と自然に共存している地域もあります。
日本でも、そんな犬猫の家族としての迎え方が当たり前の時代もありました。
どの方法が正解かを一概に決めることはできません。
だからこそ、「野良をなくすこと」だけでなく、「どうすれば命と共に生きられるのか」という視点を持つことが大切だと考えます。
生き物と経済の関係性、そして人と動物が共に暮らす未来の姿について、皆さんはどのようにお考えになりますか。