02/09/2025
WB附属研究所日誌(ツツイ、2025/09/02)
WB附属研究所雑誌「感性と対話」Vol.8, No.1.が発刊されました。
以下のURLからご覧ください。
https://narrativesenses.wordpress.com/all_volumes/v8-n1/
さて、今回の文献は、イスラエルのフロリデーションについてです。
最近のイスラエルはガザ地区侵攻など世間を騒がせていますが、歯科保健でも問題を抱えています。
Nezihovski SS et al. The effect of cessation of drinking water fluoridation on dental restorations and crowns in children aged 3–5 years in Israel – a retrospective study. Israel Journal of Health Policy Research volume 13, Article number: 50 (2024)
イスラエルでは、
1970年:5,000人以上の人口を抱える地域を対象にフロリデーション実施を義務化
1981年:市町村レベルでフロリデーション(0.7-1.2ppm)が開始
2002年:人口の75%がフロリデーションを経験
小児のむし歯無し割合は、
・フロリデーション地域: 56.4%
・非フロリデーション地域:40.6%
2013年:当時の保健大臣がフロリデーションの中断を決定
2014年:フロリデーション中止の法律制定
2015年6月:フロリデーションを再導入する決定
2020年6月:フロリデーション再導入のための予算規制は続かず、結果としてフロリデーションは実施されていない
ということで、現状未実施の状態です。
さて、このフロリデーション実施、そして中断、むし歯はどの様に変化したのでしょうか。
データは、全身麻酔歯科治療を専門的に行うAssuta Tel Aviv歯科クリニックで受けた3~5歳のむし歯治療記録(充填とクラウン処置)を解析しています。
なおイスラエルでは、18歳までの歯科医療は無料、または最小限の料金で提供されているそうです。また、フロリデーションの費用は、住民1人当たり年間5シェケル(220円)だそうです。
結 果
2014年から2019年の間に3~5歳の小児に対して行われた治療総数(クラウン-冠を被せる処置、充填処置)は図のように倍に増加しています。
また、処置件数もフロリデーション経験年(2014~2015年)と中断後の未経験年(2016~2019年)の比較で、むし歯処置件数は、ほぼ倍に増加していました。
さらに別の最新文献でも、この10年間で歯科の緊急処置の利用が全体として83%増加したことが紹介されています。
Dekel D et al. The child dental care reform in Israel - age-related patterns of uptake: 2011 to 2022. Isr J Health Policy Res. 2025 Aug 25;14:52.
米国では、陰謀論者のケネディー Jr. 保健福祉長官のおかげでユタ州やフロリダ州でフロリデーション中断と混乱していますが、ボストン大学からは中断すると、むし歯の増加、その歯科医療費の膨らみが大変なことになるとの研究論文も出されています。また、カナダのカルガリー市ではフロリデーションを一時的に中断しましたが、むし歯増、歯科医療費増が問題となり、再開された事例もあります。
イスラエルでも早く再開されることが望まれます。そして何よりも日本でのフロリデーション実施が待たれるところです。
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