現在の研究とこれまでの経緯 : 包括的生体酸化ストレス測定法の開発とその応用
Photochem & Photobiol (1987) 46, 625-31
現行研究の源流はこの論文にある。裏を返せば限られた研究資材でも実施可能と考えたからである。
2005年頃からスタートした生体内Redox-balanceの包括的測定法開発を目指した研究は、院生・卒論生による山のような試行の繰り返しの結果、2009年にその分析に堪えうる改良型がおよそ出来上がり、また、院生により器具の再使用法が考案できたことを合わせるとルーチン分析が可能な段階に入ったものと考えております。
1998~2004年の間は、洗浄赤血球を用いたin vitroの実験系を構築して院生・卒論生がカテキン類やグルタチオンの抗酸化活性について精力的に検討してまいりました。
その頃、難治研の堀川先生に大変お世話になりカテキン単
回ラット胃内投与による動物実験データを得ることもできました。また、NOanalyzerと Analytical Biochem (1997) 247, 417-27 で論文にした方法を用いて唾液のnitirite/nitrateの解析も実施しましたし、アスコルビン酸の体内動態に関する研究のほか、グルタチオンを含めてS-ニトロソ化反応の実験なども行いました。NOAは酷使したためか現在機嫌がよくありません。
移籍後はESRが使えない状況でしたので、1998年以前の研究は放棄し、唯一Photosensitizationの知見のみを用いて抗酸化に関わる食品成分の機能性に標的を絞りました。片肺ですが止むをえません。分析機器が仕事をするわけではありませんので、カス頭のアイディア勝負です。
2005年以降、カテキン飲料や大豆製品、アスコルビン酸などを摂取して種々実験を繰り返してきましたが、初期の分析方法では今一つはっきりとしたデータを得ることができませんでした。
生体内酸化ストレスすなわちRedox Balance変化の包括的解析法は、装置と方法に様々な改良を加えてきた結果、分析精度は批判に十分耐えうるレベルに概ね到達したものと考えております。
ところで、本分析法初期レベルのアイディアは特許申請し公開されていますが審査請求はせずに放棄しております。また2006年ビタミン学会大会やBMB2008等でも発表しておりますのでプロトタイプの内容は既に公知の事実であり、ご賛同いただければどなたでも使用できます。
しかし、本法はルーチン的運用上解決すべき問題点を少なからず包含している現況にあります。また、装置の小型汎用化が望まれますが、弱小研究室では該開発は不可能でありますので当分の間このことは棚上げするほかありません。
目下、この改良型測定法を用いて、High Glucose惹起一過性酸化ストレスの意義解明、食物繊維、カテキン類、酢、米ぬか油などの機能性、旧測定法による結果の再検討などを院生・卒論生と共同して遂行致しております。
さらには、それらに関連する様々な情報や文献的調査も院生・卒演生と実施しています。
これらの実験研究は、古い論文ですけれど、冒頭の論文内容がその基盤に存在します。(Sep.19, 2011 改 薗田)