23/11/2025
来年1月の学術大会の研究発表・実践報告を一つずつご紹介します。
学術大会の早割は12月12日までです。
どうぞお早めにお申込みください。
研究発表2
GTを未完了と完了から読み解く― GT理論の変容と Gendlin のプロセスモデルによる理解 ―
山本 誠司(Gestalt. Art. Focusing net)
本研究は、ゲシュタルト療法(以下「GT」)における「未完了(incompletion)」および「完了(completion)」概念の理論的変容を検討し、Gendlinのプロセスモデルを手掛かりとして再理解を試みる。日本では、Perlsの著書『ゲシュタルト療法バーベイテイム』(1969/2009)および『ゲシュタルト療法―その理論と実際―』(1973/1990)に依拠するGTの実践が広く普及している。この理解において、未完了は「過去の未解決の問題」であり、「今-ここでの再体験」を通して未完了を完了させることにより、気づきが推進するとみなされる傾向がある。しかし、この理解はGTの本来の理論的基盤を必ずしも十分に反映しているとは言えないと考える。
一方、Perls, Goodman, & Hefferline(1951)による原典的記述では、未完了とは気づきの拘束状態であると同時に、接触過程において完了へと推進する動的潜勢であり、完了とは単なる終結ではなく、接触を通して生じた新しい体験(novelty)が同化されることによって、自己が変容し、自己と世界との関係の在り方が新たに構成される生成的プロセスとしての記述が見られる。この視点は、Gendlinのプロセスモデルにおける概念構造と相同性を持つと考えられる。
本発表では、1951年版と1969/1973年版における未完了・完了概念の相違を比較検討し、日本におけるGTの実践において注目されてこなかった生成的推進(generative carrying forward)の理論的意義を明らかにする。さらにGendlin理論との整合性を検討し、未完了を「終わらせるべき問題」ではなく、「次の体験を呼び込む生成的潜勢」として理解する枠組みを示す。以上より、GTの臨床実践における「未完了と完了」の理論的再考を促すことを目的とする。
日本ゲシュタルト療法学会第第15回学術大会「境界のダイナミクスー 歴史・理論・実践の交わるところ」の詳細・参加申し込みページです。