原子力資料情報室 CNIC

原子力資料情報室  CNIC 原子力資料情報室は、「原発に頼らない社会」を実現するために、政府や産業界から独立した立場で活動する認定NPO法人です。 https://cnic.jp

5月1日に開催された当室のウェビナーで講師を務めてくださった専修大学教授の岡村りらさんのオピニオン記事を共同通信が6月8日に配信しています。https://www.47news.jp/14420934.html岡村さんが講師の当室ウェビナー...
09/06/2026

5月1日に開催された当室のウェビナーで講師を務めてくださった専修大学教授の岡村りらさんのオピニオン記事を共同通信が6月8日に配信しています。
https://www.47news.jp/14420934.html

岡村さんが講師の当室ウェビナー「ドイツやスイスの事例から考える『南鳥島で地層処分』の問題点」の録画映像も改めてぜひご覧ください。
www.youtube.com/watch?v=ADLUeIaeTX0

 南鳥島で、核のごみの最終処分場に関する調査が始まった。自治体議会での請願採択などを経ず、国の申し入れで始まった初の例だ。地質などの条件を満たした「適地」とされるが、同様の地域は日本全国に数多く存在す...

【審議会開催、委員として参加のスタッフが発言】6月5日、第49回 総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 原子力小委員会が開催されました。https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryok...
08/06/2026

【審議会開催、委員として参加のスタッフが発言】
6月5日、第49回 総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 原子力小委員会が開催されました。
https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/genshiryoku/049.html

当室から委員として参加している松久保肇の発言メモを掲載します。ただし4分に制限されている発言時間を大幅に超過してしまったため、全ては発言できていません。
https://cnic.jp/82113
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1.東京電力福島第一原発事故について

 前回の委員会でも申し上げたましたが、原子力の行動指針と題する報告書において、申し訳程度に冒頭で福島第一原発事故の反省ややっていることを書いているからそれでいいだろうと言って済む問題ではありません。
 政府は廃炉作業を2051年完了と何度も地元に約束してきました。残り25年です。問題は廃炉の姿が見えないことだけではありません。私は東京電力が準備している8兆円の廃炉費用がデブリ取り出しまでであり、その後の費用は含んでいないことが、原子力政策にかかわるきわめて大きな問題だと考えています。
 原子力学会は福島第一の廃炉で発生する低レベル放射性廃棄物はおよそ780万トンだと示しています。通常の原発廃炉では発生するのが9000トン程度なので、800倍以上の廃棄物が発生することになります。いまだ通常廃炉で発生する低レベル放射性廃棄物の処分地点も見つけられていない中で、これほど大量の廃棄物をいったいどこに処分するつもりでしょうか。大型原発1基分の廃炉で発生する低レベル放射性廃棄物の処分費は、現在価値換算で250 億円です。単純計算で、廃棄物処分だけで22兆円以上の費用がかかることがわかります。8兆円という現在の見積もりと合わせると、それだけで30兆円はかかる計算です。当然、これ以外にも費用は積みあがるでしょう。あと25年で少なくとも30兆円以上という巨額の費用をねん出する必要があるのです。これは推進政策がもたらした惨事の後始末の問題です。この議論をしないままに、推進の話だけしましょうというのは、私は許されないと考えます。

2.数値目標について

 次に原発新設の数値目標についてです。まず、事務局に意見を申し上げたいと思います。今回、この数値目標が私に示されたのは昨晩9時でした。これでは数字の適正性は全く検証できません。意見を求めないのであれば、事務局が自らの責任でやるべきであって、小委員会の名前を使うべきではないと考えます。
 そのうえでコメントすると、今回示された数値目標が、電気事業連合会が示した数値目標を使っているのであれば、あの数字は他律的要素による停止期間除外を考慮していないものでした。
 仮に再稼働した原発の停止期間をすべて他律的要素であるとして除外し、さらに未稼働原発はかなり楽観的ですが、すべて2028年に再稼働するとした場合であっても、2040年度の設備容量は3,700万kW以上あります。電気事業連合会の示していた2040年度の必要容量3,914万kWを200万kW下回るに過ぎず、今回資料での下限値3,588万kWを上回っています。2050年度の設備容量も3,300万kW以上あり、電気事業連合会の示した2,317万kWという残存設備容量の想定を1,000万kW上回っています。
 私は停止期間除外制度の導入に反対しましたが、もしこの制度を前提としないのであれば、いったい何のために他律的要素を運転期間から除外したのかということになります。また、電気事業連合会の資料では、設備利用率は70%を想定していますが、今回の行動指針では様々な稼働率向上の方策が盛り込まれています。もしこれが功を奏するのなら、発電電力量は増えるため、必要な設備容量はもっと減ることになります。
 むしろ課題はわずか4年後に迫った2030年の電源構成に占める原発比率20~22%という目標でしょう。現在の2030年需要予測をもとに考えると2,800万kW、およそ30基程度の原発稼働が必要です。現時点で目標達成が困難なことは明らかです。この不足分をどうするのかを目下の課題とする必要があります。
 IEAの資料では、原発への世界の投資規模は、再エネの投資規模の10分の1でしかありません。さらに、2025年の発電電力量を見ると、2010年比で原発はわずか3パーセントしか増えていませんが太陽光は8,500%増、再エネ全体でみても156%と圧倒的な増加です。差し迫った脱炭素とエネルギー安全保障を考えるのであれば、巨額のコストを必要とし、時間も20年近くかかる原発新設に時間と労力を費やしている時間はないはずです。

3.不断の安全性向上について

 中部電力浜岡原発の不適切事案について、業界全体での品質保証活動の改善や安全を最優先とする基本姿勢の再徹底という方針が示されていますが、これまでも改竄、隠ぺいなど似たような事案があるたびに基本姿勢の再徹底が謳われてきました。今回の事件は、自主的な取り組みではなんら実効性が担保されないことが明らかとなったと言えます。
 炉規法側では罰則規定も検討されているようですが、2度と東京電力福島第一原発事故と同じような事故を起こさないというのであれば、むしろ利用政策側こそ厳しい対応が求められるはずです。電事法に罰則規定を設定することを提案します。
 また推進サイドから原子力損害賠償の無限責任を有限化するべきという議論が出ていますが、もし不断の安全性向上により二度と事故は起きないというのであれば、事故時の無限責任を負う必要もないはずです。実際、発電コスト検証WGの議論で経産省は過酷事故頻度は12,000炉年に1回としています。事実上、事故はほぼ起きない想定といえるでしょう。一方で、行動指針は「大規模な自然災害と原子力災害との複合災害を想定した防災体制の充実」を掲げていながら、原子力損害賠償のための賠償措置額1,200億円は事故前も事故後も変わっていません。さらに福島第一原発事故の賠償費用の一部が、本来原子力事業者が負担すべきところを、託送料金への上乗せにより需要家に転嫁されています。リスクとコストは国民に押し付けながら、免責の議論が先行していることに大きな危惧を覚えます。
 そもそも、長期脱炭素電源オークション、公的融資制度にくわえて、損害賠償有限化まで求めないと、投資判断ができないという現実は、原子力発電所の新設・建て替えが市場原理のもとでは事業として成立しないことを意味している。

4.GX戦略地域制度

 原子力をGX戦略地域制度の対象とする方針だと理解したが、すでに原発には電源三法交付金制度において、巨額の立地対策資金が長年補助されてきた。再稼働にあたっても多くの国費が投じられており、2重、3重の国費投入となっている。加えて、長期脱炭素電源オークション・容量市場の対象となっており、さらに現在国会上程中の電事法改正案では原発新設に財政投融資による資金を入れることとしている。国民は多額の負担をしている。・ コスト検証なしに公的支援の是非は判断できない。再生可能エネルギーとの比較を含む独立した費用便益分析なしに、大規模な公的支援の枠組みを決定することは許されない。

5.バックエンド計画

 使用済MOX燃料をフランスに搬出して、再処理の技術開発を行うとありますが、これまでは使用済みMOXの議論のたびに、ふげんの経験や英仏での再処理経験があると説明してきたはずです。これまで実証できていなかったのであれば、これまでの説明は一体何だったのでしょうか。また、高速炉開発に関連して、もんじゅの使用済み燃料をフランスで再処理する計画としていますが、フランスには高速炉の使用済み燃料を再処理できる施設は存在せず、建設計画も白紙となっています。これらの点をきちんと整理して説明していただきたいと思います。そのうえで、今回の搬出ではどのような新しい知見が得られるのかといったことをきちんと説明する必要があります。
 また、仮に六ケ所再処理が稼働できたとして、MOX利用が現状、極めて限定的であることを考えると、プルトニウムバランスの観点から、再処理量は低迷することが容易に想定できます。また六ケ所再処理工場の1997年という当初の竣工計画が、30年遅延しているという現実がある中で、竣工してすれば計画通りに再処理できると考えること自体が現実的ではないでしょう。MOX燃料工場が六ヶ所再処理工場の竣工の1年後に完成すれば、その後は順調に操業できる前提となっていることも、あまりに楽観的といえるでしょう。
 今回の資料では理解活動を頑張ります、といった説明しか出てきていませんが、これまでもずっと同じ話を繰り返してきており、問題は解決できていません。
 今回、行動指針では再稼働を2番目に換えられました。これは再稼働が当然の前提であると事務局は考えているのだと理解しました。であれば、再稼働を進めれば当然出てくる使用済み燃料をいったいどうするつもりなのか、という問題が帰ってきます。たとえばプルサーマル計画の遅延は事故前から続いている話です。この解決策を作り、国民や地元住民にきちんと示すことが原子力政策の最重要課題なのではないでしょうか。

6.重要電源指定制度の変更について

 重要電源指定について、実態に合わせて炉型の記述に「革新軽水炉、小型軽水炉その他の次世代革新炉の別」を追加するとありますが、革新軽水炉にもBWR、PWRそれぞれあって、革新軽水炉という記述は従来のBWR、PWR、ABWR、APWRの記述にそぐわないと思います。また小型軽水炉にもいろいろなタイプが考えられます。
 重要電源指定を申請する際に、すでにメーカー、原子炉等の選定は終わっているはずなので、いっそのこと、炉型ではなく、SRZ-1200、Hi-ABWRといったモデルを記載することにすればいいのではないでしょうか。
 また、原発の建設計画の見通しの悪さから、供給計画には記載がなくともよいように変更するとありますが、そもそも開発計画を立てる時点で一定の運転計画は立てているはずです。また10年以上先の話ですから確度が高い情報がかけるわけもなく、従来も供給計画を修正してきた理解しています。今回あえて修正する必要性が理解できません。また、公開ヒアリングについて、事故前は2段階で、1段階目は重要電源指定時、2段階目は設置許可の前の段階に行なっていました。今回1段階目を修正しようとしていますが、全体像が見えないままに1段階目だけ修正という話にはならないと思います。

7.安全評価は原子力規制委員会の業務

東京電力福島第一原発事故の最大の教訓の一つは、規制と推進の分離が徹底されていなかったことでした。この反省に立って原子力規制委員会が設置され、推進官庁である経済産業省から独立した規制機関として機能することが法的に定められています。しかし今回の行動指針には、推進側が規制側に働きかける内容が随所に盛り込まれていると考えます
 たとえば、「規制当局との共通理解の醸成」とありますが、産業側が審査の方向性について事前にすり合わせを求めることを意味する。安全審査の内容・結論は規制委員会が独立して判断すべきものであり、推進側が「共通理解」を醸成しようとすること自体が不適切だと考えます。また、ハザード先行審査の認証制度についても投資判断の予見性を口実に、規制審査を推進側のスケジュールに従属させるものです。「許認可の予見性向上に向けた規制当局との対話」についても産業側が審査結果の方向性を事前に把握・誘導しようとするものであり、規制委員会の独立した判断の原則に反すると考えます。

8.平和利用の徹底

保障措置の厳格化と関連して、原子力を長期的に利用していく前提として、原子力基本法で基本方針とされている平和利用に徹することを改めて確認するべきだと考えます。

最後に

世界の発電電力量に占める原子力のシェアは1996年のピーク時の約17%から現在は約9%へと半減しました。これは原子力が技術的・経済的競争力を喪失していることの明らかな証左です。今回の行動指針はこの現実を直視せず、原子力の「復活・拡大」を所与の前提として書かれていますが、現実を直視し、原発に依存しない社会の構築を目指すべきだと考えます。

6月5日、第49回 総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 原子力小委員会が開催されました。当室から委員として参加している松久保肇共同代表の発言メモを掲載します。ただし4分に制限されている発言時間を大幅....

5月20日に東京都小笠原村の南鳥島で高レベル放射性廃棄物の最終処分場建設ための文献調査が開始されました。原子力資料情報室はすでに南鳥島での地層処分の問題点に関する声明を2つ発表しています。改めでご一読いただけますと幸いです。3月10日声明「...
25/05/2026

5月20日に東京都小笠原村の南鳥島で高レベル放射性廃棄物の最終処分場建設ための文献調査が開始されました。原子力資料情報室はすでに南鳥島での地層処分の問題点に関する声明を2つ発表しています。
改めでご一読いただけますと幸いです。

3月10日
声明「南鳥島での文献調査申し入れに際し、私たちが考えるべきこと」
https://cnic.jp/73033

4月13日
声明「南鳥島での高レベル放射性廃棄物地層処分には多くの問題がある」
https://cnic.jp/81836

南鳥島での高レベル放射性廃棄物地層処分には多くの問題がある2026年4月13日NPO法人 原子力資料情報室東京都小笠原村の渋谷正昭村長は4月13日、住民説明会で国による南鳥島での文献調査の申し入れについて「国の責任で決....

『原子力資料情報室通信623号』の当室スタッフ執筆記事をウェブサイトで公開しました。ぜひいちど、当室通信をご覧になってみてください🙂また、公開されていない外部執筆者による記事で、チェルノブイリ救援・中部の河田昌東さんによる「チェルノブイリ原...
13/05/2026

『原子力資料情報室通信623号』の当室スタッフ執筆記事をウェブサイトで公開しました。
ぜひいちど、当室通信をご覧になってみてください🙂
また、公開されていない外部執筆者による記事で、チェルノブイリ救援・中部の河田昌東さんによる「チェルノブイリ原発事故被災者支援で出会った人々」は、直接的な言葉がなくてもこの1ページに、原発は、戦争はなぜいけないかが詰まっていて、ぜひ多くの方に読んでいただきたいです。1冊(300円)からご注文できますので、お気軽にご連絡ください📩
[email protected]


2026原発のない福島を! 県民大集会 中間貯蔵施設へフィールドワーク[山口幸夫]
https://cnic.jp/82008

連続ウェビナー報告「東京電力福島事故から15年 私たちの課題は何か」第三回・第四回[髙桑まゆ]
https://cnic.jp/82011

原子力小委員会参加記⑳行動指針改定と置き去りにされた論点[松久保肇]
https://cnic.jp/82014

取水設備を直撃 志賀原発を横切る活断層[上澤千尋]
https://cnic.jp/82020

電気事業法改正案、大型電源の新設・改修に政府が巨額投資を可能に[松久保肇]
https://cnic.jp/82023

問題山積みの南鳥島地層処分案[高野聡]
https://cnic.jp/82026

「核のゴミ地層処分問題の全国声明に取り組む会」世話人会が2026年5月1日付で発表した声明文「南鳥島での核のゴミの地層処分の問題点について」をご紹介します。https://cnic.jp/81989※この声明文は原子力資料情報室が連名で公表...
12/05/2026

「核のゴミ地層処分問題の全国声明に取り組む会」世話人会が2026年5月1日付で発表した声明文「南鳥島での核のゴミの地層処分の問題点について」をご紹介します。
https://cnic.jp/81989

※この声明文は原子力資料情報室が連名で公表したものではありません。ご留意ください。
※PDFのダウンロードはこちらから

cnic.jp/wp/wp-content/uploads/2026/05/767af18e0f7a65c13caffa3e72f03ff4.pdf

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

はじめに

2026 年 3 月 3 日に経済産業省(経産省)は、東京都小笠原村に対して、南鳥島における高レベル放射性廃棄物(核のゴミ)の最終処分地選定にむけた文献調査の実施を同村に申し入れた。自治体からの発議を欠いた、国による「申し入れ方式」の採用は、初めてのことである。その後、小笠原村長の事実上の容認の結果、4 月 21 日に、経産省は、南鳥島での文献調査を行うことを正式に決定した。核のゴミの地層処分は、地下 300m 以深に埋めることを「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」(最終処分法)として定めているが、核のゴミが安全なレベルになるまで 10万年程度を要するため、日本のような変動帯において、その間の安全性の保障は極めて困難である。

南鳥島は地層処分の適地なのか

2023 年 10 月 30 日に、300 名を超える地学の専門家の有志が、「世界最大級の変動帯の日本に、地層処分の適地はない-現在の地層処分計画を中止し、開かれた検討機関の設置を-」との声明を出した注1)。これは、表題にもある大変動帯の日本列島を念頭に置いたものであった。一方、 南鳥島は、変動帯の日本列島から約 2,000 km も離れ、太平洋プレート上に位置している。変動帯 特有の地震・火山活動などが少なく、地層処分地として日本で唯一の安定な場所との主張もある。 確かに南鳥島は、地震や火山は少ないと想定される。しかし、最近の研究では、南鳥島周辺でプチスポット火山の存在が確認され、マグマ活動が考慮すべき今後の重要な研究課題として浮上している。 さらに、南鳥島における地層処分の根本的な問題として、地震・火山だけでなく、地層処分地 としての地質・岩盤特性に注目することが重要である。 以下に、上記の声明の趣旨を補足する意味で、地層処分地の適性を左右する地質・岩盤の特性 について解説し、南鳥島の地層処分地としての適性に重大な問題があることを示す。

南鳥島周辺の地形地質環境と地層処分地としての問題点

南鳥島は、面積約 1.9 km2、海抜 10m以下の三角形の形をした小島であり、主に離水したサンゴ 礁からなる。周辺は水深が 5,000~6,000m の平坦面が広がっており、南鳥島は高さ約 5,000m 以 上の巨大な海山の頂部に位置しているのである。周辺海域は急傾斜の海底地形でおおわれており、 なかでも三角形の東辺は、北北東-南南西方向に直線的に延びた海底の尾根部に連なり、その東 側は急傾斜面をなし、山体崩壊堆積物と思われる地形が認められる。 この巨大海山は、1億数千万年前(白亜紀)に活動した海山と考えられていたが、最近の研究 で、約 4000 万年前(古第三紀)の玄武岩が発見され、白亜紀の古い火山をおおって新たに成長し た火山体であることがわかってきた(Hirano et al. 2021 の論文による注2)。

南鳥島の火山活動は古第三紀に終了しているが、本島近海においてプチスポット火山と呼ばれる特異な海山が発見されており、古くても 300 万年前以降に火山活動があったことが分かってき
た(Machida et al. 2025 の論文による*注 3))。この火山活動は海洋プレートのたわみ上で生じたと考えられており、南鳥島自体がこのたわみの上に位置している。この調査研究はまだ始まったばかりであり、今後の研究成果が待たれるが、第四紀(約 258 万年前以降)のプチスポット火山が存在する可能性がある南鳥島周辺は、地層処分地としての適性に重大な影響がおよぶことを考慮しなければならない。
最終処分の実施主体である原子力発電環境整備機構(NUMO)が想定する地層処分地は、地下300~500mでの計画であるが、南鳥島において、その深度では、地下最大 1000mに達するサンゴ起源の石灰岩が対象岩盤となる。石灰岩の特徴として、熱帯・亜熱帯に属する高温多湿の南鳥島においては、二酸化炭素を含む雨水や土壌による溶解で容易に空洞が作られ,それが水の通路となって漏水や湧水を引き起こすことがある。石灰岩の空洞は、数百m以上の深部でも地下カルストとして作られることが知られており、その場合、地表水だけでなく、過去の火山活動に伴う酸性熱水が原因となり、その空洞は崩壊する危険性もある。南鳥島が作る巨大海底海山が急峻な傾斜面をなし、山体崩壊が生じている可能性もあることを考慮すると、地下空間に埋設した核のゴミ(ガラス固化体)に接触した地下水や海水とともに放射性物質が漏れ出し、さらには周辺海域に流出して海洋汚染を引き起こし、漁業への影響や、太平洋の島嶼国への深刻な環境破壊がおよぶ可能性がきわめて高い。

なぜ南鳥島なのか-地層処分問題の解決に向けて

今回、経産省は小笠原村への申し入れについて、南鳥島が、「核のゴミ」の地層処分地として、「科学的特性マップ」で適地にされているとしか説明していない。国が、実現可能性の高い「科
学的有望地」と判断したのか否かも含め、「なぜこの場所なのか」の詳細な説明が求められる。もし、南鳥島が変動帯に属していないことが選定理由であるとすれば、上述した南鳥島の地形・地質的な状況をほとんど考慮しないあまりにも安易な判断であり、文献調査をするまでもなく不適地であることは明白である。
日本における地層処分問題の解決の基本は、2012 年の日本学術会議の「回答」に立ち返り、核のゴミを地下 300m 以深に埋める地層処分を前提とした最終処分法の廃止と、暫定保管を基本とした政策枠組みの再構築を行うべきである。その際、議論に関しては、国の主導による委員会等の組織だけでなく、多くの地球科学に携わる専門家や市民の意見を交えた中立で開かれた第三者機関を設置し、ひろく国民の声を集めて結論を導く、熟議民主主義を基本とするやり方を進めるべきである。

*注 1) www.chichibu.ne.jp/~sekine-kz56/zenkokuseimei/index.html
*注 2) Hirano et al. Island Arc, 2021. doi.org/10.1111/iar.12386
*注 3) Machida et al. Scientific Reports, 2025. doi.org/10.1038/s41598-025-15806-y

連絡先

赤井純治([email protected])
岡村 聡([email protected])
関根一昭([email protected])

「核のゴミ地層処分問題の全国声明に取り組む会」世話人会が2026年5月1日付で発表した声明文「南鳥島での核のゴミの地層処分の問題点について」をご紹介します。※この声明文は原子力資料情報室が連名で公表したもので...

4月11日に札幌で開催されたシンポジウム「北海道の核ごみ文献調査から5年 見えてきた最終処分政策の課題」の録画映像を公開しました。ぜひご視聴ください。https://cnic.jp/73061発表資料及び当日扱えなかった質問に対する回答は後...
11/05/2026

4月11日に札幌で開催されたシンポジウム「北海道の核ごみ文献調査から5年 見えてきた最終処分政策の課題」の録画映像を公開しました。ぜひご視聴ください。
https://cnic.jp/73061
発表資料及び当日扱えなかった質問に対する回答は後日、公開予定です。

発表報告:
https://www.youtube.com/watch?v=gghF-UcoJgg
パネルディスカッション:
https://www.youtube.com/watch?v=BY7R113c2Pg

本セミナーでは、『環境と公害』55巻3号(2026年1月号)の特集2に基づき、文献調査を経て明らかになった核のごみ最終処分の課題を論じます。2026年4月11日に札幌で開催したシンポジウムの前半の報告の記録です。

有明防災公園で開催の2026憲法集会に原子力資料情報室もブース出展しています。書籍などの物販のほか、「原発の電気を使いたい?使いたくない?」シール投票アンケートを実施しております。ぜひお気軽にお立ち寄りください!
03/05/2026

有明防災公園で開催の2026憲法集会に原子力資料情報室もブース出展しています。書籍などの物販のほか、「原発の電気を使いたい?使いたくない?」シール投票アンケートを実施しております。ぜひお気軽にお立ち寄りください!

新外交イニシアティブ 主催のシンポジウム「六ヶ所再処理工場の妥当性を問い直す」の録画映像が、登壇者ごとに公開されています。ぜひご覧ください!
02/05/2026

新外交イニシアティブ 主催のシンポジウム「六ヶ所再処理工場の妥当性を問い直す」の録画映像が、登壇者ごとに公開されています。ぜひご覧ください!

3 likes. "再処理と核燃料サイクルの本当のコスト すべて電気料金へ上乗せされる|松久保肇|20260415 ND政策提言発表シンポジウム 六ヶ所再処理工場の妥当性を問い直す"

今日の原子力資料情報室緊急ウェビナー「ドイツやスイスの事例から考える『南鳥島で地層処分』の問題点」が無事終了しました。合計約200名の参加となりました。ありがとうございました。資料及び録画映像も公開しているので、もう一度視聴されたい方、視聴...
01/05/2026

今日の原子力資料情報室緊急ウェビナー「ドイツやスイスの事例から考える『南鳥島で地層処分』の問題点」が無事終了しました。合計約200名の参加となりました。ありがとうございました。
資料及び録画映像も公開しているので、もう一度視聴されたい方、視聴できなかった方はぜひご覧ください。資料はアニメーションが入ると一部見えなくなってしまうので、アニメーションありとなしの2つのバージョンがあります。

〇日時:2026年5月1日(金) 14:00~15:30
〇講師:岡村りらさん(専修大学教授)
〇資料�https://cnic.jp/wp/wp-content/uploads/2026/04/96a22559a5607757d4d803a869cfc141.pdf
※アニメーションが入っている資料は一部かぶって見えにくくなっているのでアニメーションなしの資料はこちら�https://cnic.jp/wp/wp-content/uploads/2026/04/fa409321c617412bd4f7171bacf459d1.pdf
※冒頭の高野の資料はこちら�https://cnic.jp/wp/wp-content/uploads/2026/04/712d21b55bb3cd00c0851c35643b580c.pdf
〇録画映像:www.youtube.com/watch?v=ADLUeIaeTX0
〇主催・お問合せ:原子力資料情報室(CNIC)https://cnic.jp/
※ご寄付も歓迎です。
https://cnic.jp/support/donation

住所

東京都中野区中央2-48-4 小倉ビル1階
Nakano-ku, Tokyo
164-0011

ウェブサイト

アラート

原子力資料情報室 CNICがニュースとプロモを投稿した時に最初に知って当社にメールを送信する最初の人になりましょう。あなたのメールアドレスはその他の目的には使用されず、いつでもサブスクリプションを解除することができます。

共有する

カテゴリー