07/06/2026
見えているのは洋館だけじゃなか
東山手や南山手を歩いとると、
「洋館がきれかねぇ」
「教会が素敵かねぇ」
で終わってしまうことがあります。
ばってん。
ちょっと足元ば見てみらんですか。
石垣。
坂。
階段。
曲がりくねった道。
実は、そいこそが長崎居留地の本当の主役かもしれません。
石垣は真っ直ぐ積んどるごと見えて、
実はわずかにふくらみ、
わずかに反り、
山から押してくる力をふわりと受け流しとる。
「積む」のではなく、
「山と相談しながら築く」。
そんな職人たちの知恵が今も残っとるとです。
坂道も面白か。
急斜面だらけの長崎で、
ただ真っ直ぐ登ればよかはずもなか。
そこで道を斜めに走らせ、
カーブを描き、
高低差を少しずつ吸収する。
歩けば歩くほど、
「なんでここはこんなに歩きやすかとやろ?」
と思う場所が出てくる。
それは偶然じゃなか。
幕末から明治にかけての人たちが、
ちゃんと考えて、
ちゃんと計算して、
ちゃんと未来を見とったけんです。
しかも驚くのは、
豪雨。
台風。
斜面崩壊。
長崎ならではの厳しか自然条件まで見据えとったこと。
石垣の中には水抜き。
道の脇には隠れた排水路。
雨を止めるのではなく、
上手に流す。
自然に逆らわん。
自然と付き合う。
そんな町づくりやったとです。
そして——
ぜひ見てほしかものがあります。
坂の途中で突然開ける視界です。
角を曲がった瞬間。
階段を数段登った瞬間。
突然、
海が現れる。
港が広がる。
空が抜ける。
教会の塔が顔を出す。
「あっ!」
と思わず声が出る。
あの感覚。
あれは偶然ではなかとです。
実は居留地には、
風が通るように。
光が届くように。
そして誰もが海を眺められるように。
そんな工夫がたくさん隠れとる。
家がぎゅうぎゅうに建っとらん。
少し余白がある。
空が広い。
海が見える。
まるで、
「この景色は皆で分かち合おう」
と言われとるごたる。
長崎らしか共景観。
港を共有する文化。
そんな思想まで感じられるとです。
私は坂が好きです。
階段が好きです。
なぜなら、
長崎の坂や階段は、
登るためだけにあるとじゃなかけん。
振り返るためにある。
立ち止まるためにある。
海を見るためにある。
空を見るためにある。
そして、
長崎という町の凄さに気付くためにある。
そう思うとです。
南山手や東山手を歩く時は、
どうか洋館だけ見らんでください。
足元の石垣。
曲がった坂道。
階段の先の青空。
その向こうに広がる長崎港。
そこには、
海を埋め立て、
山を削り、
石を積み、
風を読み、
雨を逃がし、
景色まで設計した、
名もなき先人たちの知恵が今も息づいとります。
重機もなか。
ダンプカーもなか。
ショベルカーもなか。
あるのは人の知恵と汗だけ。
そいば思うたら、
全身にビリッと電気の走るごたる気持ちになりませんか。
「ほんとやろか?」
そう思うたら、
ぜひ坂ば登ってみてください。
ぜひ階段ば上がってみてください。
そして振り返ってください。
きっと長崎の海と空が、
昔のおじちゃんたちの仕事ぶりを
静かに教えてくれるはずです。
エンヤラヤー。
エンヤラヤー。
山と海の間に、
こんな町ば築いてくれた先人たちに、
大きな拍手ですばい。
#nagasaki #東山手 #南山手 #居留地
#坂 #階段 #石垣 #石だたみ #排水溝
#海 #空 #山 #風
おまけに
長崎やけん ”トルコライス”