26/05/2026
【委員会報告 私の尊敬する人物】
川崎拓人
① 尊敬する人物
藤本 壮介 氏(建築家・藤本壮介建築設計事務所主宰)
② 尊敬する理由
藤本氏を知ったのは大学時代でした。「内と外」「自然と人工物」といった本来対立する
ものを、一つの建築の中で包み込んでしまう発想に衝撃を受け、そこから著書や作品を
読み込み、卒業設計にも大いに参考にさせていただきました。藤本氏の建築を表す言葉
に「森のような建築」があります。森の中で木も草も動物も人も緩やかに共存している
ように、壁や天井をあえて曖昧にし、内と外、人と環境をなめらかにつなぐ。その思想
が最も大きな形になったのが、大阪・関西万博の「大屋根リング」だと思います。全長
約 2 ㎞、内径約 615mの世界最大の木造建築物を、国産の杉・桧と貫接合という日本の
伝統構法で組み上げました。日本の木造技術と森林資源の価値を、堂々と世界に発信し
てくれたこの仕事が、私が藤本氏を尊敬する一番の理由です。
③ その人から学んだこと
藤本氏から学んだことは二つあります。一つは「対立するものを、対立のままで終わら
せない姿勢」。相容れないものの間に、それでも新しい関係を見出そうとする姿勢です。
もう一つは「焦らず積み重ねる力」。2000 年の独立から地道に仕事を重ね、やがて世界
最大の木造建築を任されるまでになった歩みに、大きな仕事は派手な近道ではなく、
日々の積み重ねの先にあるのだと教わりました。
④ 現在の仕事・生き方にどう影響しているか
私は普段「枠組みを守る」側の仕事に多く関わっています。ただ藤本氏の建築に触れる
たびに、ルールの中にいても一番大事なところを見失ってはいけないと思い直します。
この建物は、施主さんにとって、地域にとって、本当に良いものになっているか。枠組
みの先にある「建築そのものの良さ」を考え続けることが、自分の役割だと思っていま
す。大屋根リングが示してくれたように、木は古くて新しい素材です。自分もこの地域
で、木造住宅や地域材の活用を通して、焦らず自分のペースで積み重ねていきたいと思います。