20/05/2026
【森とレジリエンス長野フォーラム2026】
第3楽章 いのちを育む未来の食をデザインする
○話題提供とパネラー
柳町みゆきさん 微細藻類好き
山岸征男さん 軽井沢×腐葉土×循環社会
○モデレーター
清水美香 サステナビリティ研究者(GCRC)
岡本克彦 サステナビリティカタリスト(GCRC)
山岸征男さんによる話題提供です。
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私は30年前に東京から軽井沢へUターンしてきました。もともとはサラリーマンをしていたんですが、戻ってきてからは園芸や地域活動にずっと関わってきました。そんな中、4年ほど前に、軽井沢の森を歩いていた時のことなんです。足元の落ち葉を踏みしめた時、「気持ちいいなあ」って思ったんですよね。でもその瞬間、「この落ち葉って、この後どうなるんだろう?」って、ふと考えたんです。実際、多くは集められて燃やされるか、そのまま放置される。でも本当は、森からの大切な恵みなんじゃないかと思ったんです。
軽井沢にはたくさんの別荘があります。つまり、ものすごい量の落ち葉が毎年出るんですね。そこで私は、「この落ち葉を、軽井沢の資源にできないかな」と考え始めました。最初は正直、なかなかうまくいきませんでした。「ゴミを資源にしよう」なんて掛け声を作っても、作って売るだけでは続かない。やっぱり循環というのは、“経済”としても回らなければ継続しないんです。
そんな時、自然農をやっている農家さんと出会いました。自然農って、肥料も入れない、農薬も使わない、耕さない、草も取らないという世界なんです。そこで私たちが作った腐葉土を試してもらったら、「これはすごい力がある」と言っていただけた。人工的なものではなく、自然の循環から生まれた腐葉土だからこそ、土そのものが元気になっていったんですね。
実際、最初はブタクサだらけだった畑が、腐葉土を戻し続けることで、本当に豊かな土に変わっていったんです。草を敵にするんじゃなくて、刈って土に戻していく。そうやって循環させていくと、畑そのものが生き返るんですよ。「ここ、本当に昔はブタクサだらけだったの?」って、今来た人は信じられないと思います。
私は、循環社会って、難しいテクノロジーだけじゃないと思っています。落ち葉が土に戻り、その土で野菜が育ち、人が食べ、また自然へ返っていく。その循環の中に、人の暮らしも地域経済もある。さらに、軽井沢って観光地としては有名だけれど、「農の地域」としてはあまり知られていません。でも私は、この土地で、農業や土づくりの魅力も発信していきたいんです。地元の畜産や果樹農家ともつながりながら、小さくても地域で循環する経済圏を作れたらいいなと思っています。
それから、落ち葉って面白いんですよ。発酵すると熱を持つんです。実際、落ち葉発酵の熱だけで苗を育てることにも挑戦しています。電気を使わなくても、自然の力だけで40度近くまで温度が上がる。「自然ってすごいなあ」って、改めて感じますね。
私は、循環社会というのは、「便利さを我慢すること」ではなく、「自然の力をもう一度信じ直すこと」なんじゃないかと思っています。土に触れ、森に触れ、人とつながる。そういう小さな営みの積み重ねが、地域の未来を豊かにしていくんじゃないでしょうか。