28/04/2026
全日本メートル・ド・テル連盟主催
第95回レストランサーヴィスセミナー
〜国際儀礼の教養と、継承されるデクパージュの技術〜
2026年4月20日(月)、神戸の「ホテル ラ・スイート神戸ハーバーランド」にて、全日本メートル・ド・テル連盟主催による「第95回レストランサーヴィスセミナー」が開催されました。
春の陽気に包まれた神戸港を臨む会場には、技術の向上を目指す若手からベテランまで、多くの意欲あるサーヴィスパーソンが集い、熱気あふれる研鑽の場となりました。
【座学】プロトコール(国際儀礼)の本質を学ぶ
セミナーの前半は、当連盟会長であり、現代の名工・黄綬褒章受章者である檜山和司氏による座学からスタートしました。
今回のテーマは「プロトコール(国際儀礼)」。
レストランという場は、単に食事を提供するだけでなく、時には国際的な社交の場としての役割を担います。
世界共通のルールであるプロトコールの本質、そして相手への敬意を形にする「礼儀作法」の重要性について、檜山会長の豊富な経験に基づいた講義が行われました。
真のプロフェッショナルとして、いかにゲストに安心感と品格を提供すべきか、参加者は深く聞き入り質疑応答では鋭い質問も飛び交う熱気も見られました。
【実技】伝統技術の継承と実践
後半の実技セッションでは、メートル・ド・テルの醍醐味であるゲリドンサーヴィスの技術が披露されました。
Technique de découpe de l'ananas(パイナップルのデクパージュ)
Mousse de foie gras(フォアグラのムース)
Filetage de la daurade rôtie(鯛のロティのフィルタージュ)
Ananas flambé(パイナップルのフランベ)※デモンストレーション
檜山会長による鮮やかなデモンストレーションの後、参加者全員が実際にクトー(ナイフ)を手に取り、実習を行いました。
特に「パイナップル」のデクパージュはでは、ダイナミックな演出としての、檜山会長の真骨頂を目の当たりにし、細部にわたる指導のもと果敢に挑戦する姿が見られました。
続いて披露されたデモンストレーション「パイナップルのフランベ」では、青い炎とともに立ち上がる香りが会場を包み、サーヴィスの表現力と「お客様への楽しみの提供」を体感できた瞬間でもあったでしょう。
【参考資料:プロトコール座学の要約】
1. 言葉の定義と由来
プロトコール(Protocol): 公的な場での「国際儀礼」。語源はパピルスの束の最初に貼られた「表紙(覚書)」で、国家間のルールを指します。
エチケット(Etiquette): 個人が守るべき規範。語源はフランス・ヴェルサイユ宮殿の「通行証(チケット)」で、宮廷の作法を身につけている証でした。
マナー(Manners): 社会の習慣として成立したルール。語源はラテン語で「手」を意味する「マヌス」です。
2. プロトコールの基本5原則
国際交流を円滑にするための共通ルールとして、以下の5つが挙げられています。
Rank conscious(序列の尊重): 序列(ランク)に気を配る。
Right the first(右側上位): 右側を上位とする(※日本は伝統的に左が上位)。
Reciprocate(返礼・相互主義): 同等の待遇を返し合う。
Local customs respected(異文化尊重): 現地の習慣を尊重する。
Lady first(レディーファースト): 西欧の騎士道精神に基づいた社交儀礼。
3. 序列と席次のルール
公的な場での優先順位や座り方の基本ルールです。
序列の基本: 国家元首が第一位。次いで王族、三権の長(行政・立法・司法)、外交官の順が一般的です。
席次の決め方: 経歴、地位、年齢などを考慮します。
上位席の原則: * 基本は「右側」が上位。
景色が良い席、暖炉の前(洋室)、床の間を背にした席(和室)などが上位。
出入り口に近い席は下座となります。
配慮事項: 仲の悪い国や人を隣同士にしない、言葉の通じる人を間に配席するなどの工夫が重要です。
【結びに】
今回のセミナーを通じて、技術の習得はもちろんのこと、同じ志を持つ仲間との交流も深まり、非常に有意義な時間となりました。
レストランサーヴィスの価値を再定義し、次世代へと繋いでいく。全日本メートル・ド・テル連盟は、今後もこのような機会を通じて、日本のホスピタリティ業界の発展に寄与してまいります。
ご参加いただいた皆様、そして会場をご提供いただきましたホテル ラ・スイート神戸ハーバーランドの皆様に心より感謝申し上げます。
広報担当役員 初田 智