20/07/2026
【新刊情報】待望のブライトコプフ版『ラヴェル:ピアノ協奏曲 ト長調』
モーリス・ラヴェルの傑作『ピアノ協奏曲 ト長調』の新しいスコアが、ブライトコプフ&ヘルテル社よりついに刊行されました。
今回の版が特筆すべきはその校訂の精度です。校訂を担当したピーター・ヨスト博士は、フランスの協会、モーリス・ラヴェル友の会(AMR)会長マニュエル・コルネジョ氏による膨大な書簡を編纂した資料集を多角的に紐解き、ラヴェルが作曲時に抱いていた意図をこれまで以上に鮮明に浮かび上がらせています。
この校訂の核心を成すのは、ラヴェルが「真の意味での協奏曲」を目指し、モーツァルトやサン=サーンスの精神を受け継ぎつつ、自身の芸術をいかに昇華させようとしたかという記録です。
特に興味深いのは、初演ソリストのマルグリット・ロンに手渡された校正刷りや、出版社デュランとの緻密なやり取りの分析です。ロンによって書き込まれた指使いや修正の痕跡を丹念に検証することで、印刷譜の向こう側にあった「作曲家の苦悩と意志」が明かされています。
「人は自分が望むものを正確に手に入れることはできない。しかし、この協奏曲は私が求める素材と形式を使いこなし、意志を最もよく主張できた作品だ」というラヴェル自身の述懐にもある通り、この作品には彼の芸術的理想が凝縮されています。
単なる楽譜の再発行にとどまらず、ラヴェル研究の最前線が凝縮された一冊。演奏家の方はもちろん、ラヴェルという作曲家の深淵に触れたいすべての方にとって、必携の書といえるでしょう。
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