16/09/2026
『[記事] FDA承認ダラクソンラシブ「画期的な膵臓がん治療薬の登場は、心臓治療も恩恵を受ける可能性がある」』
日刊ゲンダイの記事から。先日異例の速さで米国FDA承認されたダラクソンラシブ。国際第3相試験(RASolute 302)において、治療歴のある転移性膵管腺がんに対し、全生存期間や無増悪生存期間(治療開始後、がんが悪化せず安定した状態にある期間)を約2倍に延長する有効性が示され話題となっています。記事では、このダラクソンラシブの別の角度からの興味深い特徴を、順天堂大学 天野篤先生が解説されています。詳細は以下をご参照ください。
■「画期的な膵臓がん治療薬の登場は心臓治療も恩恵を受ける可能性がある」週刊ゲンダイ 2026年9月15日
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/health/392962
膵臓がんに対する画期的な最新の治療薬が大きな話題になっています。「ダラクソンラシブ」という新しいタイプの飲み薬で、今年8月26日に米FDA(米国食品医薬品局)から承認されました。この新薬は分子標的薬と呼ばれるタイプで、膵臓がんの約9割に見られる「RAS(KRAS)」という遺伝子の変異の活性化を阻害し、がん細胞の増殖を抑制します。
これまでも、RAS遺伝子を標的とした治療薬の開発は世界中で試みられてきましたが、ことごとく失敗に終わり、創薬は難しいとされてきました。RASタンパク質の構造と性質に、クリアするのが難しい高いハードルが存在していたからです。
しかし、KRASタンパク質の特定の変異において、一時的に現れる隠れた“隙間”が発見されたことが突破口となり、開発が進みました。それも、さまざまなタイプがある遺伝子の変異を幅広くカバーし、変異の種類を問わず活性化を阻害する革新的な新薬の開発に成功したのです。
今年5月、この新薬を使用した大規模な臨床試験の結果が発表されました。6カ国59施設で500人の膵臓がん患者を対象に、ダラクソンラシブ群(248例)と従来の化学療法群(252例)を比較したところ、全生存期間(中央値)は、従来の化学療法が6.6~6.7カ月だったのに対し、新薬は13.2カ月と約2倍に延長しました。死亡リスクが60%低下したことになります。
また、がんが大きくなって病状が進行するまでの期間も、3.5カ月↓7.3カ月と約2倍に延びました。さらに、強い副作用によって治療を断念するケースが11.2%みられた従来の化学療法に比べ、新薬では1.2%と大幅に減ったうえ、主な副作用は、発疹、下痢、吐き気、口内炎などの軽い症状で済んでいました。
病状の進行を遅らせてQOL=生活の質を保ちながら、大幅な延命効果も期待できるという結果が示されたのです。しかも、さまざまな種類の遺伝子変異にも対応できるため、膵臓がん患者の約90%に治療の可能性が開かれることになります。
現時点では日本国内では未承認なため、保険診療でこの新薬を使うことはできませんが、いずれ承認されるでしょう。そうなれば、膵臓がん治療は大幅に進化することになります。膵臓 がんは見つかったときには進行しているケースが多く、手術もできず、抗がん剤の効果も出にくい「最も性質が悪いがん」とされてきました。そんな常識が過去のものになる可能性があるのです。
■心臓はさまざまな臓器と密接に関係している
こうした膵臓がんに対する画期的な新薬が登場したことは、心臓治療を進歩させるきっかけになるかもしれません。ほかの がんに対しても分子標的薬をはじめとした新たなタイプの薬が開発されるのは間違いないでしょうし、その過程で心臓病に効果的な新薬が生まれる可能性があるのです。
実際、もともとは他の病気の治療薬として開発された薬が、心臓病の治療薬として使われたケースはいくつもあります。
*続きは以下をご参照ください。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/health/392962/3
******************
■関連記事
●Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)
「米FDAが膵臓がん新薬を承認、「生存期間を倍増させる」可能性」 2026.08.27
https://forbesjapan.com/articles/detail/103651