特定非営利活動法人パンキャンジャパン

特定非営利活動法人パンキャンジャパン パンキャンジャパンは、膵臓がん撲滅のために①研究支援 ②患者支援 ③希望をつくるという3つのミッションを掲げて活動している特定非営利活動法人です。

『[記事] FDA承認ダラクソンラシブ「画期的な膵臓がん治療薬の登場は、心臓治療も恩恵を受ける可能性がある」』日刊ゲンダイの記事から。先日異例の速さで米国FDA承認されたダラクソンラシブ。国際第3相試験(RASolute 302)において、...
16/09/2026

『[記事] FDA承認ダラクソンラシブ「画期的な膵臓がん治療薬の登場は、心臓治療も恩恵を受ける可能性がある」』
日刊ゲンダイの記事から。先日異例の速さで米国FDA承認されたダラクソンラシブ。国際第3相試験(RASolute 302)において、治療歴のある転移性膵管腺がんに対し、全生存期間や無増悪生存期間(治療開始後、がんが悪化せず安定した状態にある期間)を約2倍に延長する有効性が示され話題となっています。記事では、このダラクソンラシブの別の角度からの興味深い特徴を、順天堂大学 天野篤先生が解説されています。詳細は以下をご参照ください。

■「画期的な膵臓がん治療薬の登場は心臓治療も恩恵を受ける可能性がある」週刊ゲンダイ 2026年9月15日
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/health/392962

 膵臓がんに対する画期的な最新の治療薬が大きな話題になっています。「ダラクソンラシブ」という新しいタイプの飲み薬で、今年8月26日に米FDA(米国食品医薬品局)から承認されました。この新薬は分子標的薬と呼ばれるタイプで、膵臓がんの約9割に見られる「RAS(KRAS)」という遺伝子の変異の活性化を阻害し、がん細胞の増殖を抑制します。

 これまでも、RAS遺伝子を標的とした治療薬の開発は世界中で試みられてきましたが、ことごとく失敗に終わり、創薬は難しいとされてきました。RASタンパク質の構造と性質に、クリアするのが難しい高いハードルが存在していたからです。

 しかし、KRASタンパク質の特定の変異において、一時的に現れる隠れた“隙間”が発見されたことが突破口となり、開発が進みました。それも、さまざまなタイプがある遺伝子の変異を幅広くカバーし、変異の種類を問わず活性化を阻害する革新的な新薬の開発に成功したのです。

 今年5月、この新薬を使用した大規模な臨床試験の結果が発表されました。6カ国59施設で500人の膵臓がん患者を対象に、ダラクソンラシブ群(248例)と従来の化学療法群(252例)を比較したところ、全生存期間(中央値)は、従来の化学療法が6.6~6.7カ月だったのに対し、新薬は13.2カ月と約2倍に延長しました。死亡リスクが60%低下したことになります。

 また、がんが大きくなって病状が進行するまでの期間も、3.5カ月↓7.3カ月と約2倍に延びました。さらに、強い副作用によって治療を断念するケースが11.2%みられた従来の化学療法に比べ、新薬では1.2%と大幅に減ったうえ、主な副作用は、発疹、下痢、吐き気、口内炎などの軽い症状で済んでいました。

 病状の進行を遅らせてQOL=生活の質を保ちながら、大幅な延命効果も期待できるという結果が示されたのです。しかも、さまざまな種類の遺伝子変異にも対応できるため、膵臓がん患者の約90%に治療の可能性が開かれることになります。

 現時点では日本国内では未承認なため、保険診療でこの新薬を使うことはできませんが、いずれ承認されるでしょう。そうなれば、膵臓がん治療は大幅に進化することになります。膵臓 がんは見つかったときには進行しているケースが多く、手術もできず、抗がん剤の効果も出にくい「最も性質が悪いがん」とされてきました。そんな常識が過去のものになる可能性があるのです。

■心臓はさまざまな臓器と密接に関係している
 こうした膵臓がんに対する画期的な新薬が登場したことは、心臓治療を進歩させるきっかけになるかもしれません。ほかの がんに対しても分子標的薬をはじめとした新たなタイプの薬が開発されるのは間違いないでしょうし、その過程で心臓病に効果的な新薬が生まれる可能性があるのです。

 実際、もともとは他の病気の治療薬として開発された薬が、心臓病の治療薬として使われたケースはいくつもあります。
*続きは以下をご参照ください。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/health/392962/3

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■関連記事
●Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)
「米FDAが膵臓がん新薬を承認、「生存期間を倍増させる」可能性」 2026.08.27
https://forbesjapan.com/articles/detail/103651

『[記事] 静岡がんセンター「膵がん・胆道がんセンター新設 診断から治療、緩和医療までワンストップで」』静岡新聞・47NEWSの記事から。膵臓(すいぞう)がんの手術件数・薬物療法件数ともに国内トップクラスの実績を持つ 静岡がんセンターは、2...
16/09/2026

『[記事] 静岡がんセンター「膵がん・胆道がんセンター新設 診断から治療、緩和医療までワンストップで」』
静岡新聞・47NEWSの記事から。膵臓(すいぞう)がんの手術件数・薬物療法件数ともに国内トップクラスの実績を持つ 静岡がんセンターは、2026年7月1日、難治性とされる膵がん・胆道がんに特化し、各診療科の専門性を集約して最適かつ迅速な治療の実現を目指し、膵がん・胆道がんセンターを新設しました。早期発見のための専門ドックから、精密画像・ゲノム診断、外科手術、陽子線治療、薬物療法、早期からの緩和ケアまでをワンストップで提供する施設となります。詳細は以下をご参照ください。

■「増える膵がん、最新治療提供へ 膵がん・胆道がんセンター新設 静岡県立静岡がんセンター 診断から治療、緩和医療までワンストップで」2026年8月27日
https://news.at-s.com/article/2043013
https://www.47news.jp/14851187.html

 長泉町の静岡県立静岡がんセンターはこのほど、難治性がんへの対策の一環として「膵(すい)がん・胆道がんセンター」を新設した。専門の検診コースを設け、診断から治療、緩和医療までワンストップで提供する全国初の体制を整えた。ゲノム医療の活用で治療が急速に進歩する中、各分野の特徴を生かした「集学的治療」を推進するとともに、創薬や治療技術の開発、専門医の育成などに取り組む。

 膵がんの罹患(りかん)数は高齢化に伴い、20年前の2倍以上に増加している。初期症状が乏しいため発見時には進行していることが多く、5年生存率は全体平均で12~13%と極めて低い。
 手術や抗がん剤、放射線療法などが治療の基本だが、近年は遺伝子変異に対応する分子標的薬の開発が相次ぎ、生存期間の延長が期待されている。胆道がんは既に複数の薬が実用化されているほか、開発が難航していた膵がんも米国で新薬の効果が発表され、医療関係者の注目を集めている。
 こうした動きを受け、同センターでは外科や内科と他部門との連携を強化。ゲノム医療に関連した治験の強化に加え、画像診断や放射線治療、支持医療、緩和ケアなど複数の領域にわたる臨床試験に力を入れる方針だ。
 新たに始まった「膵がん・胆道がんドック」では、通常のがん検診では実施しない超音波内視鏡検査やMRIを取り入れ、腫瘍マーカーの検査項目を充実させた。周辺の医療機関と連携し、リスク因子のある人へのアプローチにも取り組む。
 同センターの膵がん手術件数は年間150件前後で、診療実績は全国でもトップクラスを誇る。手術後に抗がん剤治療を行う補助化学療法では、同センターが有効性を示した治療法が標準治療のガイドラインに採用された実績もある。石渡裕俊センター長は「ゲノム医療の進化で膵がん治療は過渡期にある。治療が複雑化する中、より適切なタイミングで最新の医療を提供したい」と話す。
 <膵(すい)がん・胆道がん> 膵がんは消化液の通り道である膵管に発生する。国立がん研究センターの統計によると、2023年に新たに診断されたのは4万7540例。4万人超が膵がんで死亡し、がん全体の死亡数(男女計)で第3位となっている。胆道がんは胆管や胆のうなどに発生し、5年生存率が20%台と膵がんに次いで低い。23年の診断数は2万926例。

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■参考HP
●静岡がんセンター「膵がん・胆道がんセンター」HP
https://www.scchr.jp/department/pb_onco-center/index.html

『[イベント] 10/24 パンキャン北海道支部「第60回 膵がん教室 in 帯広開催のご案内」-ハイブリッド開催・参加無料』毎月開催の恒例のパンキャン北海道支部「膵がん教室」。10月は、コープさっぽろ社会福祉基金と北海道がん対策基金か...
15/09/2026

『[イベント] 10/24 パンキャン北海道支部「第60回 膵がん教室 in 帯広
開催のご案内」-ハイブリッド開催・参加無料』
毎月開催の恒例のパンキャン北海道支部「膵がん教室」。10月は、コープさっぽろ社会福祉基金と北海道がん対策基金から助成をいただき、帯広にて ハイブリッド形式(会場とオンライン)で開催いたします。事前のご参加申込みが必要ですので、詳しくはチラシと下記をご参照ください。
今回は、「true multimodal cancer therapy(集学的治療)-相乗効果を最大限に引き出す癌の多角的治療 膵癌を中心に」のタイトルで、北斗病院の成定 宏之 先生、「膵がんの外科治療について」のタイトルで、北斗病院の中村 透 先生にご登壇いただきます。詳細は以下をご参照ください。(事前のお申込みが必要です)

■パンキャンジャパン北海道支部主催
「第60回 膵がん教室 in 帯広」
日時 2026年10月25日(土)13:30~15:30
会場 帯広経済センタービル 4階 N402+N403
  (帯広市西3条南9丁目23番地 経済センタービル4F)
アクセス https://www.occi.or.jp/kaijyo/rental/post-57981.html

●お申込みはこちらへ 
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSf5sKFJBen_jhmH6XG4nByM_n5_KSXPcNE2fHL15gryrGfOQg/viewform
*事前のお申込みが必要です。

『【11月膵臓がん啓発月間】11/29 パンキャン宮城支部主催「膵がん市民セミナー仙台2026」-現地開催・参加無料』パンキャン宮城支部主催、東北大学病院、特定非営利活動法人 NEXTSURG、東北広域次世代がんプロ養成プランの後援で開催...
15/09/2026

『【11月膵臓がん啓発月間】11/29 パンキャン宮城支部主催「膵がん市民セミナー仙台2026」-現地開催・参加無料』
パンキャン宮城支部主催、東北大学病院、特定非営利活動法人 NEXTSURG、東北広域次世代がんプロ養成プランの後援で開催する 膵臓(すいぞう)がん市民セミナー。「11月は膵臓がんの啓発月間」の11月29日に開催されます(会場は、エル・パーク仙台一番町・141ビル 5F セミナーホール)。
サブタイトル「増加するすい臓がんにあなたはどう立ち向かう?」のように、セミナーでは、罹患や、治療、さらに在宅医療の場合など、患者さんの様々な場面にあった治療法、対応のエッセンスを解説します。ぜひ様々な情報をお持ち帰りください。詳細は以下をご参照ください。(事前のお申込みが必要です)

■パンキャンジャパン宮城支部主催
「膵がん市民セミナー仙台2026 
 ~増加するすい臓がんにあなたはどう立ち向かう?~」
日時 2026年11月29日(日)14:00~16:15(開場13:30)
会場 エル・パーク仙台一番町・141ビル セミナーホール1・2
  (宮城県仙台市青葉区一番町4丁目11−1)
アクセス https://www.sendai-l.jp/center/lp/

●お申込みはこちらへ (定員200名)
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSevxk7wffndex3UNngPvSUwly0A8l51VMpsptfpZ5Knswb_Bg/viewform

*要事前申込み。定員になり次第、受付終了いたします。
*事前のお申込みがない場合は、当日ご入室いただけませんのでご留意ください。

『[イベント] 9/20「膵臓がんの理解を深めて 津市の三重大学で9月20日、ウオークとセミナー」-参加無料』中日新聞の記事から。三重県で毎年の恒例となっている、三重大学による「膵臓がん啓発のウォーク&セミナー」。今年は9月20日(日)に...
14/09/2026

『[イベント] 9/20「膵臓がんの理解を深めて 津市の三重大学で9月20日、ウオークとセミナー」-参加無料』
中日新聞の記事から。三重県で毎年の恒例となっている、三重大学による「膵臓がん啓発のウォーク&セミナー」。今年は9月20日(日)に開催です。午前のウォークでは、膵がん克服のイメージカラー紫色(パープル)のTシャツを着た参加者が三重大学を中心とするコースをめぐります。午後のセミナーでは、膵がんの専門医や医療者による講演が行われます。
お申込み不要。ご興味のある方はぜひ三重大学へお越しください。

■「パープルリボンウォーク&セミナー2026 in 津」
日時:2026年9月20日(日)
場所:三重大学 (三重県津市栗真町屋町1577)
アクセス:https://www.mie-u.ac.jp/about/overview/access/

■プログラム
●第1部:9:30~11:30
セレモニー、ウォーク�ウォークは三重大学構内のコースです
●第2部:13:00~16:00
セミナー�医師、薬剤師、栄養士、患者さんと学ぶ膵臓がん

■関連記事
●伊勢新聞 
「膵がんへの理解を ウォークとセミナー、三重大で9月」
https://news.yahoo.co.jp/articles/9d6e2ae13d7044c5b65f402319cd9d7045fb6b1c

●中日新聞
「膵臓がんの理解を深めて 津市の三重大学で9月20日、ウオークとセミナー」
https://www.chunichi.co.jp/article/1301428?rct=tsu

■イベントちらし
https://web.hosp.mie-u.ac.jp/pancan/index.php/2026/08/06/2026flyer/

『[イベント] 10/4「第14回 日本神経内分泌腫瘍研究会学術集会 市民公開講座」希少がんNECセミナー: オンライン・参加無料』第14回目となる日本神経内分泌腫瘍研究会の学術集会が、柏の葉カンファレンスセンターで開催されます(会長:池...
14/09/2026

『[イベント] 10/4「第14回 日本神経内分泌腫瘍研究会学術集会 市民公開講座」希少がんNECセミナー: オンライン・参加無料』
第14回目となる日本神経内分泌腫瘍研究会の学術集会が、柏の葉カンファレンスセンターで開催されます(会長:池田公史先生(国がん東)。学会の発表を受け、翌日の10月4日(日) に、オンラインで市民公開講座が開催されます。参加無料。
まさに今年のNET、NEN治療の最前線となりますので、ご希望の方は以下よりご参加ください。

■第14回 日本神経内分泌腫瘍研究会学術集会 市民公開講座
【Webセミナー】

日時:2026年10月4日(日) 開演13:00
主催:第14回 日本神経内分泌腫瘍研究会学術集会 [JNETS 2026]、
NPO法人パンキャンジャパン
●お申込みはこちらへ
https://ws.formzu.net/fgen/S35492548/

■当日プログラム
開会挨拶 池田公史先生 (国立がん研究センター東病院)
講演1「神経内分泌腫瘍の総論・診断」
  増井俊彦先生(国がん東病院)
講演2「神経内分泌腫瘍の外科治療」
   青木 琢先生(国がん東病院)
講演3「神経内分泌腫瘍の薬物療法」
   森實千種先生(国がん中央病院)
講演4「神経内分泌腫瘍に対する放射性リガンド療法(Radioligand therapy)」今岡 大先生(国がん東病院)
パネルディスカッション ご登壇の先生方
閉会挨拶 眞島喜幸(NPO法人パンキャンジャパン)

『[展示] 北海道支部「がんを知るパネル展-北海道道議会館」』8月31日から1ヵ月の間、北海道同議会会館1階で、「がんを知るパネル展」が開催されています。パンキャンのパネルも展示させていただいております。写真は、北海道支部 事務局長の田辺睦...
01/09/2026

『[展示] 北海道支部「がんを知るパネル展-北海道道議会館」』
8月31日から1ヵ月の間、北海道同議会会館1階で、「がんを知るパネル展」が開催されています。パンキャンのパネルも展示させていただいております。写真は、北海道支部 事務局長の田辺睦子さん。会をアレンジしてくださった北海道庁の田中様、ありがとうございます!

■北海道議会X(旧Twitter)より
「本日より議会庁舎1階展示コーナーで「がんを知る展」を開催しています。ぜひお立ち寄りください!
展示期間:令和8年8月31日(月)~令和8年10月2日(金)」
https://x.com/hokkaidogikai/status/2094325913626538214

●北海道 議会庁舎 アクセス
https://www.gikai.pref.hokkaido.lg.jp/chosha/index.html

『[記事] がんナビ「膵がん外科手術の術前・術後補助療法―切除成績の向上を目指して」-化学療法は切除成績にどんな形で貢献したか』神奈川県立がんセンター総長の古瀬 純司先生の記事から。膵がんの予後の改善のキーとなるのが「切除手術の治療成績の向...
18/08/2026

『[記事] がんナビ「膵がん外科手術の術前・術後補助療法―切除成績の向上を目指して」-化学療法は切除成績にどんな形で貢献したか』
神奈川県立がんセンター総長の古瀬 純司先生の記事から。
膵がんの予後の改善のキーとなるのが「切除手術の治療成績の向上」です。これまでの化学療法による切除手術への様々な取り組みについて、多くのグラフなどのエビデンスを用いて、古瀬先生が解説されています。
【グラフ】「フランスとカナダで行われたゲムシタビンとmodified FOLFIRINOXによる術後補助療法の比較試験(PRODIGE24/CCTG PA6試験)」、【表】「膵がん手術の術前と術後補助療法のメリット・デメリット」「切除可能膵がんに対する術前補助療法の第Ⅲ相試験」「切除手術の補助療法に関する日米欧州ガイドライン」など、多くの貴重なエビデンスを掲載した永久保存版の記事になっています。古瀬先生からも「膵がん治療、1年かけてまとめることができました」とお声をいただいてます。貴重な記事をご案内いただき、ありがとうございました。
詳細は以下をご参照ください。

■「膵がん外科手術の術前・術後補助療法―切除成績の向上を目指して」古瀬 純司(神奈川県立がんセンター総長)
がんナビ 2026年8月18日
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/cancernavi/report/202608/594114.html

●はじめに 
 2026年1月、厚生労働省から全国がん登録に基づく主要ながん腫の5年生存率が発表されました(図1)。消化器がんでは、大腸がん67.8%、胃がん64%と大きく改善する一方、膵がんは11.8%と、10%をやや超える程度にとどまっています。膵がんの予後の改善には、早期診断と切除手術の治療成績の向上が必須です。そこで、切除手術の治療成績の改善を目指した多くの取り組みについて、私なりにまとめてみました。参考にしていただければ幸いです。

●切除手術では治癒を目指す 
 がんの治療は病変を残さず切除する、つまり治癒を目指す完全切除が基本的な考え方です。膵がんも同様で、外科切除が唯一治癒を期待できる治療として行われています。したがって、治療前の検査で遠隔転移がない、メスで完全に切除できる範囲にとどまっていることが手術を行う大前提です。しかし、膵がんは早期診断が難しく、見つかったときには既に転移がある、あるいは周囲に広がっていて取り切れない、したがって手術の適応にならない、という患者さんが多いのが現状です。無理に取れる範囲だけ切除する手術は、患者さんの体力を低下させ、残ったがん病変が急速に増悪してしまい、全く良いことがありません。一般的に切除ができる膵がんは20~30%程度とされています。

 2000年代の切除手術の成績は5年生存率が10~20%にとどまり、何とか予後の改善を目指した取り組みが行われてきました。1つは転移しやすいリンパ節を徹底的にしっかり取り除くという拡大郭清手術でした。しかし、膵臓の周囲には腸管の動きをコントロールする自律神経が草むらのように広がっていて(膵周囲神経叢)、広範囲にメスを入れると、ひどい下痢などの重篤な副作用が出て、生活に支障が出てしまうようです。そこで、それまで行われていたあまり広くリンパ節を取らない標準郭清手術と広く郭清する拡大郭清手術の比較試験が行われましたが、結局、拡大郭清のメリットはなく、むしろ標準郭清手術の生命予後が良いという結果が出ています(図2)。

●術後補助療法とこれまでのエビデンス 
 膵がんの手術は、メスで取るだけでは限界があることが明らかとなり、それなら手術後に薬物療法や放射線療法を組み合わせて、見えない残ったがん細胞を制御しようという術後補助療法の考えが出てきました。胃がんや大腸がんでは術後補助療法により手術成績が改善するという結果が出ていて、既に日常診療に導入されていました。しかし、膵がんは胃がんや大腸がんとは性質が異なります。膵がんで術後補助療法が有効かどうか確認する必要があります。

 1990年代、海外と日本を含めて多くの術後補助療法の臨床試験が行われました。薬物療法や薬物療法と放射線療法の併用(化学放射線療法)がいくつも試みられました。しかし、当時は切除不能膵がんに有効な薬がない状況であり、術後補助療法としても有効な治療は出てきませんでした。

 最初に術後補助療法として効果が認められた薬剤はゲムシタビンでした。ドイツの臨床研究グループが、切除できた患者さんに術後ゲムシタビン治療を6カ月行う群と切除のみの群を比較したところ、がんの再発がなく生存する期間(無病生存期間)と死因にかかわらない生存した期間(全生存期間)の両方とも、ゲムシタビン治療群が良好だったと報告しました(図3)。少し遅れて日本でも同様の試験が行われ、ほぼ同様の結果が得られています。

● この結果、膵がんの外科切除治療においてゲムシタビンによる術後補助療法が国際的な標準治療法として日常診療で広く用いられるようになりました。さらに、その後いくつかの新しい治療法の開発が世界中で行われてきましたが、中でも日本で行われた経口フッ化ピリミジン薬(S-1)を使った術後補助療法の比較試験(JASPAC01試験)で大きな成果が得られ、現在の標準治療として行われています。

 JASPAC01試験は、術後補助療法としてゲムシタビン点滴とS-1内服をそれぞれ6ヵ月間治療する群を比較したもので、S-1治療群で期待した以上の良好な成績が報告されました。当初、ゲムシタビンの点滴よりS-1の経口薬の方に利便性があるという臨床的メリットから、劣らなければよいという設定の臨床試験(非劣性試験)として行われましたが、S-1の治療が有意に生存期間を延ばすという優越性が得られたと報告されました(図4)。その結果、現在も日本では膵がんの切除後補助療法としてS-1が広く標準治療として使われています。
*記事の続きは、以下をご参照ください。
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/cancernavi/report/202608/594114.html

**********************
■参考HP
●古瀬 純司先生
(神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター総長)
https://kcch.kanagawa-pho.jp/i-rock/about/greeting.html

『[雑誌] 新刊のご紹介-「文藝春秋 9月号 特集:がん15部位 早期発見ガイド」など』文藝春秋 最新刊の9月号では、芥川賞の受賞と併せ「がん15部位 早期発見ガイド」が特集されています。膵臓(すいぞう)がんの分野では、JA尾道総合病院の花...
11/08/2026

『[雑誌] 新刊のご紹介-「文藝春秋 9月号 特集:がん15部位 早期発見ガイド」など』
文藝春秋 最新刊の9月号では、芥川賞の受賞と併せ「がん15部位 早期発見ガイド」が特集されています。膵臓(すいぞう)がんの分野では、JA尾道総合病院の花田敬士先生が寄稿されています。
本誌では、膵臓がんの最大のリスクとして『糖尿病の新規発症と加療中の悪化』を取り上げ、「生活習慣を変えていないのに、急にヘモグロビンA1Cの数値が悪くなるとか、糖尿病の家族がまったくいないのに人間ドックで突然『血糖値が高いですよ』と指摘されることは重要なサインの一つ」と指摘し、早期発見のチャンスは気をつけていればあると言及しています。花田先生、ご案内ありがとうございました。
雑誌の新刊については、以下をご参照ください。

■文藝春秋 2026年9月号
「がん15部位 早期発見ガイド」など
文藝春秋社 1480円
https://bunshun.jp/bungeishunju/articles/h12583

◎保存版「がんを治す」
全15部位 早期発見ガイド
胃/食道/大腸/膵臓/肺/膀胱/前立腺/胆道
白血病/腎臓/肝臓/乳/子宮体/子宮頸/卵巣

●文藝春秋社プラス (*一部立読みができます)
https://bunshun.jp/bungeishunju/articles/h12521

●Amazon
https://www.amazon.co.jp/%E6%96%87%E8%97%9D%E6%98%A5%E7%A7%8B-2026%E5%B9%B49%E6%9C%88%E5%8F%B7/dp/B0HB96GT9Q

『[記事]「リリーのオロモラシブは、米国FDAから、前治療歴のあるKRAS G12C変異進行膵癌の治療薬として画期的治療薬指定を受けました」』膵臓(すいぞう)がん患者全体の約85%〜90%以上に見られるのが「KRAS変異」で、この中でも多い...
07/08/2026

『[記事]「リリーのオロモラシブは、米国FDAから、前治療歴のあるKRAS G12C変異進行膵癌の治療薬として画期的治療薬指定を受けました」』
膵臓(すいぞう)がん患者全体の約85%〜90%以上に見られるのが「KRAS変異」で、この中でも多いのが「G12D」や「G12V」などの変異です。今回の記事の対象となっている「KRAS G12C」は約2%前後と稀なタイプです。米国FDAは、KRAS G12C変異を有し、かつ少なくとも1回の全身療法を受けた進行性膵癌の成人患者の治療を対象として、オロモラシブ(LY3537982 イーライリリー開発)の単剤療法にブレイクスルーセラピー指定を付与したことを発表したとのことです。詳細は以下をご参照ください。

■「リリーのオロモラシブは、米国FDAから、前治療歴のあるKRAS G12C変異進行膵癌の治療薬として画期的治療薬指定を受けました」 2026年8月3日
https://www.moomoo.com/ja/news/post/73988890/lilly-s-olomorasib-receives-us-fda-s-breakthrough-therapy-designation?level=1&data_ticket=1785900429792058

インディアナポリス、2026年8月3日 /PRNewswire/ -- イーライリリー(NYSE: LLY)は本日、米国食品医薬品局(FDA)が、FDA承認試験で確認されたKRAS G12C変異を有し、かつ少なくとも1回の全身療法を受けた進行性膵癌の成人患者の治療を対象として、オロモラシブ(LY3537982)の単剤療法にブレイクスルーセラピー指定を付与したことを発表しました。オロモラシブは、KRAS G12Cの次世代阻害剤であり、強力かつ高選択性の治験薬です。オロモラシブは以前、抗PD-1療法KEYTRUDA(ペムブロリズマブ)との併用で、FDA承認試験で判定されたKRAS G12C変異およびPD-L1発現率50%以上を有する局所進行性または転移性非小細胞肺癌(NSCLC)の一次治療として、ブレイクスルーセラピー指定を取得しています。

ブレイクスルーセラピー指定は、重篤な疾患を対象とした医薬品の開発及び審査を迅速化することを目的としており、予備的な臨床エビデンスが、既にFDAの完全承認を受けた治療薬と比較して、臨床的に重要な評価項目において実質的な改善を示す可能性がある場合に付与されます。

膵癌は米国で年間約6万人が新たに診断され、推定で年間5万人の死亡が予測されています。1 転移性膵癌患者の転帰は一般的に不良で、5年生存率は5%未満です。2 KRAS G12C変異を有する膵癌患者の転帰は、変異のない患者よりも悪いというエビデンスが増えており、治療における持続的なギャップと、大きなアンメットニーズに対処する機会を示しています。3 現在、KRAS G12C変異膵癌を特異的に標的とする承認された治療法はありません。

「膵癌は歴史的に最も治療が困難な癌の一つであり、腫瘍にKRAS G12C変異を有する患者は、病状が進行した場合に限られた選択肢しかありません」と、リリー・オンコロジーのエグゼクティブバイスプレジデント兼プレジデントであるJacob Van Naardenは述べています。「このブレイクスルーセラピー指定は、このような状況でオロモラシブに見られる初期の可能性と、新たな治療選択肢の緊急の必要性を反映しています。膵癌と肺癌の2つのブレイクスルーセラピー指定により、オロモラシブはKRAS G12Cドリブン腫瘍全体で広範な可能性のある臨床エビデンスを示し続けており、これらの癌と闘う患者に有意義な新たな治療選択肢を提供するという当社のコミットメントを反映しています。」

FDAのブレイクスルーセラピー指定は、KRAS G12C変異進行固形腫瘍(進行性膵癌で少なくとも1回の全身療法を受けた患者を含む)におけるオロモラシブの非盲検、多施設、第1/2相LOXO-RAS-20001試験(NCT04956640)の有望な予備結果に基づいています。

リリーは、複数の試験でKRAS G12C変異癌におけるオロモラシブを研究しています。試験の詳細はclinicaltrials.govをご覧ください。

LOXO-RAS-20001について
LOXO-RAS-20001は、KRAS G12C変異進行固形腫瘍患者におけるオロモラシブの安全性、忍容性、及び予備的有効性を評価する非盲検、多施設、第1/2相試験です(NCT04956640)。本試験には、KRAS G12C変異固形腫瘍におけるオロモラシブ単剤療法の第1a相用量漸増フェーズと、オロモラシブ単剤療法及び他の治療法との併用を評価する第1b相用量拡大・最適化フェーズが含まれます。

オロモラシブについて
オロモラシブ(LY3537982)は、KRAS G12Cタンパク質の経口、強力かつ高選択性の次世代阻害剤の治験薬です。KRAS変異はヒトのRAS関連癌の約85%を占め、そのうち膵癌の約90%を含み、KRAS G12C変異は膵癌患者の約1%~2%に発生しています。4,5 オロモラシブはKRAS G12Cを標的とするように設計され、単剤療法または併用療法において高い予測標的占有率と高い効力を可能にする薬物動態特性を有しています。6

*続きは以下をご参照ください。
https://www.moomoo.com/ja/news/post/73988890/lilly-s-olomorasib-receives-us-fda-s-breakthrough-therapy-designation?level=1&data_ticket=1785900429792058

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